米の風刺漫画家が抗議の退社 ベゾス氏とトランプ氏の接近掲載されず

2025/01/05 10:46 

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 米紙ワシントン・ポストの著名な風刺漫画家が、同紙のオーナーであるインターネット通販大手「アマゾン」の創業者ジェフ・ベゾス氏らがトランプ次期大統領にすり寄る様子を風刺した作品の掲載を拒否されたのを理由に退社した。同紙は「検閲」を否定しているが、漫画家は「言いたいことを言う自由を持つべきだ」と訴えている。

 米メディアによると、トランプ氏が2024年11月の大統領選で当選した後、ベゾス氏やIT大手メタのザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)ら「IT長者」は、従来距離を置いてきたトランプ氏の自宅を相次いで訪れている。アマゾンやメタは、政権移行のために設立された基金に、それぞれ100万ドル(約1億5000万円)を寄付することも決めた。

 米国の優れた報道に贈られる「ピュリッツァー賞」の受賞経験もあるアン・テルナエス氏は、トランプ氏にベゾス氏らがひざまずいて金を差し出す様子を風刺漫画で描いた。しかし、ポスト紙の論説漫画部門は掲載を見送った。

 テルナエス氏は3日にウェブ上で公開した論考で「誰の何を描いたかということを理由に私の漫画が殺されたことはない」と同紙の対応を批判。一方、同紙は米メディアに「他の複数のコラムと内容が重複すると判断した」と掲載見送りの理由を説明した。

 ベゾス氏は24年10月、同紙の論説部門が対立候補のハリス副大統領(民主党)への支持を表明するのに反対し、「政治的中立」を図った。テルナエス氏は当時、一面が黒塗りされた風刺漫画を公開して抗議。リベラル派を中心に失望が広がり、大統領選までに電子版契約者の1割超に相当する30万人が解約した。【ワシントン秋山信一】

毎日新聞

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