バイデン氏、ガザ停戦合意を発表 次期政権と「一つのチーム」で交渉

2025/01/16 05:57 

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 パレスチナ自治区ガザ地区で続いてきた戦闘の停止に向けて交渉の仲介をしてきた米国のバイデン大統領は15日、ホワイトハウスで演説し、イスラエルとイスラム組織ハマスが停戦とハマスが拘束する人質の解放などで合意したと発表した。「何十年も外交に関わってきたが、最も難しい交渉の一つだった」と説明。合意に向けて20日に発足するトランプ次期政権と「一つのチーム」として協力したと明かした。

 バイデン氏によると、合意は3段階で構成される。第1段階では6週間の停戦が実施され、イスラエル軍が人口密集地から撤収。ハマスが拘束する女性や高齢者らの人質の解放のほか、イスラエルが収監するパレスチナ人数百人も釈放される。ガザの市民も居住地域に戻り、人道支援の拡大も始まる。

 第2段階では、恒久的な停戦やイスラエル軍のガザからの完全撤収、イスラエル軍の男性兵士を含む生存中の人質の解放が行われる。第2段階に向けた交渉が続く限り、「6週間」の停戦は延長される。第3段階では、ハマスが拘束する死亡した人質の返還やガザでの大規模な復興計画が始まるという。

 バイデン氏は「この戦争を終わらせるには人質の解放しかなかった。ついにこの日が来たことに深く満足している」と強調。パレスチナ人の苦境にも触れ、「パレスチナの人々は地獄を経験してきた。あまりにも多くの罪のない人が亡くなった。ガザの人々は今回の取引でようやく再建できる」とも述べた。

 バイデン氏は昨年5月末に停戦案を発表し、カタールやエジプトと共に、イスラエルとハマスの仲介に動いてきた。演説では、合意案が「私のもとで策定され、交渉されたものだが、多くの部分において次期政権下で実施されることになる」と説明。「ここ数日、我々は一つのチームとして話してきた。次のチームに引き継ぐ。中東のより良い未来のための本当の機会だ」と指摘した。【ワシントン松井聡】

毎日新聞

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