「いずれトランプ氏から大きな圧力」 次期司法長官候補に同情の声
米国のトランプ次期大統領が司法長官に指名したパム・ボンディ前フロリダ州司法長官(共和党)の承認を巡る議会公聴会が15日、上院司法委員会で開かれた。ボンディ氏は「司法の独立」を尊重すると強調したが、トランプ氏は第1次政権で司法権力を政治的に利用しようとした経緯がある。民主党議員からは「いずれ大統領から大きな圧力を受けることになる」とあわれむ声も上がった。
ボンディ氏は、未成年の買春疑惑などで指名を辞退したマット・ゲーツ元連邦下院議員に代わって、司法長官の候補に起用された。
公聴会の冒頭発言では「米国を再び安全にするのが私の責務だ」と訴えた。トランプ氏が自らに対する捜査を「司法権力の武器化」と批判してきたことを踏まえて、「司法省への信頼と公正さを取り戻す。党派色や武器化はなくなる」とアピールした。
司法省は連邦検察や連邦捜査局(FBI)などを傘下に持つ。民主党議員からは、トランプ氏やFBI長官候補のカシュ・パテル氏が示唆する「政敵への捜査」への対応に質問が集中。ボンディ氏は直接的な回答は避けながら、「不適切なことはしない」と述べた。
ボンディ氏が過去に、2020年大統領選でのトランプ氏の落選を覆す司法闘争に法律家として関わったことに関連し、「トランプ氏は(20年に)敗れたと認めるか」と迫る質問もあったが、ボンディ氏は「大統領はバイデン氏だ」と答えてはぐらかした。
ただ、民主党議員からもボンディ氏の資質を疑問視する意見はほとんど出なかった。質疑は休憩を挟んで約5時間に及んだが、時にジョークを交えながら落ち着いて対応。資質が疑問視されていたゲーツ氏との違いも浮き彫りになった。
トランプ氏は司法・警察権を都合良く利用しようとするため、「歯止め役」となる司法長官とは摩擦が起きやすい。第1次政権では、16年大統領選でのロシアとトランプ陣営の癒着疑惑への対応を巡る不満から、当時のセッションズ司法長官を解任。20年大統領選後には、敗北を覆す工作への協力を拒んだ当時のバー司法長官が辞任に追い込まれた。【ワシントン秋山信一】
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