一時停戦、ロシア同意が焦点 ゼレンスキー氏「米国にかかっている」

2025/03/12 11:59 

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 米国とウクライナの両政府は11日、サウジアラビアでの高官協議後の共同声明で、ウクライナが米国による30日間の一時停戦の提案を受け入れたと発表した。米側は停止していたウクライナへの軍事支援と機密情報の共有を即時に再開する。一時停戦はロシアの同時実施が条件で、ロシアが同意するかが焦点となる。

 トランプ米大統領はホワイトハウスで記者団に、ロシアの同意への期待を語った上で、週内にもプーチン露大統領と協議する意向を示した。米高官が近くロシアを訪問し、停戦について話し合う見通しだ。また、ウクライナのゼレンスキー大統領を再びホワイトハウスに招くという。

 ロイター通信によると、ウクライナ政府当局者は11日夜、米国による軍事支援と情報共有が再開されたと述べた。

 ルビオ米国務長官やウクライナのイエルマーク大統領府長官らが参加した協議は8時間を超えた。声明によると、米側は「即時かつ暫定的な30日間の停戦」を提案し、ウクライナが同意。ウクライナとロシアの合意があれば延長可能だとした。米国はロシアにも停戦を受け入れるよう促す。

 また、ウクライナにある鉱物資源の権益を巡る米国との協定については、できるだけ早期に締結することで合意した。ウクライナが求めてきた「安全の保証」は確約されず、「長期的な安全保障」という表現で盛り込まれ、その実現へ向けた米ウクライナの交渉を「直ちに開始する」とした。

 ゼレンスキー氏は協議後のX(ツイッター)への投稿で、協議でウクライナはミサイルや無人機(ドローン)での攻撃を含む空や海に限った「部分的な停戦」を提案したが、米国側から地上を含む完全な一時停戦を提案されたと明かした。

 ゼレンスキー氏はトランプ氏に謝意を示し、停戦の提案を「良いステップ」だと歓迎。ロシアが停戦に応じるかは「米国にかかっている」と指摘した。

 ルビオ氏は協議後の記者会見で「ウクライナは(戦争終結に向けて)具体的な一歩を踏み出した」と評価した。「ボールは彼ら(ロシア)のコートにある」とも述べた。一時停戦について「交渉の前に互いが撃ち合いをやめなければならない。それが(トランプ)大統領の望んでいたことだ」と説明。停戦が実現すれば、「第2段階」として、戦争を終結させるための「本物の交渉」に入るとの見方を示した。

 トランプ、ゼレンスキー両氏は2月末の首脳会談で決裂し、米側が軍事支援や機密情報の共有を停止するなど、和平に前向きに取り組むようウクライナ側へ圧力をかけていた。【ワシントン松井聡、ベルリン五十嵐朋子】

毎日新聞

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