イスラエル、治安機関トップを解任 首相側近の収賄捜査を「妨害」

2025/03/21 17:41 

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 イスラエル政府は21日の閣議で、国内治安機関のイスラエル総保安庁(シンベト)のトップ、バー長官を解任することを全会一致で承認した。ネタニヤフ首相はバー氏との間の「根本的な信頼関係の欠如」が原因だとしている。だがシンベトは、ネタニヤフ氏の側近がカタールから、サッカー・ワールドカップ(W杯)の開催国としてのイメージ向上を図る見返りに賄賂を受け取った疑惑を捜査しており、国内で「捜査妨害だ」と大きな反発を招いている。

 イスラエルメディアによると、シンベト長官の解任は史上初めて。ただ、野党は最高裁に異議を申し立てる予定で、最高裁が解任を認めない可能性がある。

 ネタニヤフ氏は、2023年10月のイスラム組織ハマスによる越境攻撃はシンベトの諜報(ちょうほう)の失敗が原因だと主張しており、バー氏が「シンベト再建にふさわしい人物ではない」と説明した。

 これに対してバー氏は、シンベトのトップは首相ではなく国民に忠実であるべきだと主張。収賄疑惑を捜査している中での解任を「前例のない利益相反だ」と批判した。

 ネタニヤフ氏の側近は22年のサッカーW杯カタール大会を前に、カタールが中東和平のパートナーであることを強調するキャンペーンを実施した。だが一方で、カタールはハマスに資金援助をしており、ハマスの軍事力増強の要因になったと指摘されている。【エルサレム松岡大地】

毎日新聞

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