ウクライナ北東部へのミサイル 露軍「軍狙った」 米「露軍のミス」

2025/04/15 10:51 

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 子どもを含む民間人の死傷者が出たロシア軍による13日のウクライナ北東部スムイ中心部へのミサイル攻撃について、露国防省は14日、「攻撃はウクライナ軍の現地司令部の会合場所を標的にしたもので、60人以上の兵員を殺害した」とする声明を発表した。一方、トランプ米大統領は「ミス」によるものとの見方を示した。

 ウクライナ政府によると、攻撃による死者は、子ども2人を含む35人に上った。ウクライナのシビハ外相は、攻撃は意図的に民間人を狙ったもので、「この戦争犯罪の詳細な情報を支援国や国際機関と共有している」と述べた。

 これに対し、露国防省は声明で、露軍は弾道ミサイル「イスカンデルM」2発をウクライナ軍の会合場所に向けて発射したと主張。「ウクライナはスムイの中心部に兵員や軍施設を配置し、民間人を人間の盾として利用している」とウクライナ側を非難した。

 西側各国の首脳からロシアに対する批判の声が高まる中、トランプ米大統領は13日、スムイの攻撃について「ひどいことだ。ロシア側のミスによるものだと聞いている」と記者団に述べたが、詳細は明らかにしなかった。

 ロシアのペスコフ大統領報道官は14日の会見で、このトランプ氏の発言について問われ、「戦況についてはコメントしない。露軍は、軍事目標と、それに隣接する目標しか攻撃しない」と語った。

 スムイ州はウクライナが越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州に隣接しており、戦闘が激化している。ウクライナでは南部クリブイリフでも4日、露軍の弾道ミサイルによる攻撃があり、子ども9人を含む20人が死亡していた。

 国連は今年2月、ロシアが全面侵攻を開始した2022年2月以降の3年間で、少なくとも1万2654人のウクライナの民間人が死亡したとの推定を明らかにした。

 一方、ウクライナ東部の戦線を中心に、露軍兵士の死傷者数も拡大しているとみられる。ウクライナ軍によると、露軍の3月の死傷者数は1日平均で約1300人に上り、2月の約1250人から増加した。英国防省が14日に発表した分析によると、露軍の死傷者数の増加傾向は4月も続いており、前線での露軍の攻撃が拡大していることを反映している可能性が高い。【ブリュッセル宮川裕章】

毎日新聞

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