「今日は感情高ぶった」米国の和平案にウクライナ反発 ロンドン会合

2025/04/24 12:05 

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 ロシアの侵攻を受けるウクライナと米国、英国、フランス、ドイツは23日、停戦に向けた具体策を協議するためロンドンで政府高官による会合を開いたが、合意には至らなかった。ウクライナ南部クリミア半島について、2014年に一方的に併合したロシアによる統治を米政府が法的に承認するといった内容の米国の和平案を、ウクライナ側が受け入れなかったとみられる。英BBCなどが報じた。

 協議は今後も続く見通しだが、和平案を巡って米ウクライナが歩み寄れるかが焦点になりそうだ。米ニュースサイト「アクシオス」は23日、米政府でロシア側との交渉を担当するウィットコフ中東担当特使が25日にプーチン露大統領とモスクワで会談すると報じた。

 会合はルビオ米国務長官とウィットコフ氏が直前に出席を取りやめ、外相級から高官級に格下げされた。英国はラミー外相が出席したが、仏独の外相は欠席した。ルビオ氏とウィットコフ氏が欠席したのは、ウクライナ側が米国の和平案に反発していることなどが理由とみられる。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は会合後、X(ツイッター)に「今日は感情が高ぶった」などと投稿し、対立があったことを示唆した。会合に出席したシビハ外相もXで、米側と「建設的な意見交換をした」などと成果を強調したものの、内容には触れず、「定期的な対話を続けていく」と述べた。

 アクシオスによると、米国の和平案は「最終提案」とされ、ウクライナ東部のドネツク、ルハンスク、南部のザポリージャ、ヘルソンの計4州におけるロシアの占領地域を事実上承認することなども含まれている。

 ゼレンスキー氏は22日に「クリミア半島の割譲は認めない。ウクライナの憲法に違反し、議論の余地もない」と言明。ロイター通信によると、23日の会合でもウクライナ側はその原則を主張したという。

 ゼレンスキー氏は会合後の投稿でも「ウクライナは常に憲法に従って行動する。そして我々のパートナー、特に米国がその確固たる決定に沿って行動してくれると確信している」と米側をけん制した。【ロンドン福永方人】

毎日新聞

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