EUが研究者誘致に2年間810億円 米国からの人材獲得にも意欲

2025/05/06 09:43 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は5日、「科学のために欧州を選んで」と銘打ち、域外の研究者を招くために2025~27年に5億ユーロ(約810億円)を投じると明らかにした。

 米国でトランプ米政権による急な研究補助費打ち切りなどで混乱が広がる中、リベラルな価値観と手厚い資金援助で、世界各地から優秀な研究者を引き抜きたい考えだ。

 フォンデアライエン氏は5日、パリのソルボンヌ大学で演説し、「残念ながら、今日の世界において科学の役割は疑問視されている。これは非常に大きな判断ミスだ」と、暗に米トランプ政権の科学政策を批判した。

 研究者誘致のためEU加盟国に2030年までに研究開発費を国内総生産(GDP)の3%まで引き上げるよう求めることも明らかにした。

 米ニュースメディア「ポリティコ」などによると、続いて演説したフランスのマクロン大統領は、「世界有数の民主主義国が、多様性という言葉が含まれているという口実で研究プログラムを廃止するなど誰も想像できなかった」と米国を批判。「自由を愛するなら、欧州に来てほしい」と、人材獲得への意欲を隠さなかった。

 トランプ政権は1月の発足以降、政府の科学関連部門の人員を大幅に削減したほか、広範な科学研究への公的補助金を打ち切ったり、大学への締め付けを強化したりしている。「科学軽視」と批判され、現場に混乱が広がっている。【ブリュッセル岡大介】

毎日新聞

国際

国際一覧>

写真ニュース