独メルツ新政権が発足へ 保革大連立、2回目の首相指名投票で選出

2025/05/06 23:17 

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 ドイツ連邦議会(下院)は6日、2月の総選挙で最大勢力となった中道右派、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の首相候補、フリードリヒ・メルツCDU党首(69)を首相に選出した。CDU・CSUと中道左派・社会民主党による保革大連立の政権が発足。CDU出身の首相は、メルツ氏のライバルだったアンゲラ・メルケル氏の政権(2005~21年)以来となる。

 メルツ氏は6日の首相指名選挙で、当選に必要な過半数(316票)に6票届かず、第二次大戦後では初めて首相指名選挙が不調に終わった。CDUなどが改めて支持集約を図り、首相に選出された。

 新政権の閣僚の陣容には、悪化する欧州の安全保障環境への対処を重視する意向が反映された。外相にはCDU所属でメルツ氏の腹心とされるヨハン・ワーデフール氏(62)を起用。ワーデフール氏は安保政策に詳しく、24年12月にはメルツ氏と共にウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪問した。

 国防相は前政権から引き続き、社会民主党のボリス・ピストリウス氏(65)が務める。ピストリウス氏は留任する唯一の閣僚となった。

 経済・エネルギー相となるカテリーナ・ライヒェ氏(51)は15年まで連邦議会議員を務め、今回の閣僚人事が決まるまで電力やガスネットワークを運営する会社のトップを務めていた。エネルギーの専門家として、景気後退の一因となったエネルギー価格の高騰への対処にあたる。

 環境政党「緑の党」が与党となった前政権では、経済と環境保護政策の両立のため「経済・気候保護省」が発足した。メルツ政権では経済・気候保護省は廃止され、環境政策は環境省に移管される。

 閣僚は、女性8人、男性10人で平均年齢は53・1歳となった。最年少は経済協力・開発相、レーム・アラバリラドファン氏で35歳。【ベルリン五十嵐朋子】

毎日新聞

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