米国、カタールから「空飛ぶ宮殿」受領 野党から「賄賂だ」と批判も

2025/05/22 11:12 

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 米国防総省は21日、カタール王室から贈与の申し出を受けた豪華ジャンボジェット機の受領を正式に表明した。トランプ大統領は大統領専用機「エアフォースワン」として使用する意向だが、外国からの超高額な贈与に与野党から倫理や安全保障上の懸念が指摘されている。

 パーネル報道官は21日、「国防長官は全ての連邦規則と規制に従い、カタールからジャンボ機を受け取った」とする声明を出した。欧米メディアによると、贈与される機体はボーイング747―8型機で、1機あたり約4億ドル(約570億円)相当とされる。

 2012年にカタール王室に納入され、その豪華な内装から「空飛ぶ宮殿」とも呼ばれている。トランプ氏もホワイトハウスで記者団に「カタールは米空軍にジェット機を贈与する」と認め、「素晴らしいことだ」と述べた。

 現在の専用機は1990年に就航し、老朽化していることからトランプ氏が1期目の18年に後継機2機をボーイング社に発注。当初は24年に納入予定だったが、機密性の高い通信システムや外部からの攻撃に対する防御機能などの導入作業に遅れが生じ、運用開始は27年以降の見通しだという。トランプ氏はその間に贈与される豪華ジャンボ機を専用機として使い、退任後は大統領図書館に移すとしている。

 ただ豪華ジャンボ機が専用機の仕様を満たすためには改修に相当な時間を要するため、トランプ氏が十分な安全対策を施さないまま使用を始めるとの懸念も出ている。

 また、合衆国憲法は大統領など政府職員が議会の了承を得ずに外国政府から贈与を受けることを禁じている。トランプ政権は国防総省が受け取るため問題ないとしているが、民主党からは「トランプ氏に対するあからさまな賄賂だ」との批判が上がっている。

 共和党のスーン上院院内総務は今月13日、「(報道が事実であれば)議会で十分に精査することになる」との考えを記者団に示していた。【ワシントン金寿英】

毎日新聞

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