マスク氏、米政権離脱の意向表明 特別政府職員「終わり近づく」

2025/05/29 11:11 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 トランプ米大統領の側近として政府効率化省(DOGE)を率いてきたイーロン・マスク氏は28日、トランプ政権を近く離脱する意向を表明した。X(ツイッター)に「『特別政府職員』としての時間が終わりに近づくに当たり、トランプ大統領に感謝したい」と投稿した。

 マスク氏はXで「無駄な歳出を削減する機会を与えてくれた」とトランプ氏に謝意を表明。そのうえで「DOGEの使命は、時とともに強化されていくだろう」と投稿した。

 マスク氏は大統領選での巨額献金などが評価され、トランプ氏の側近となった。財政赤字の削減などを目指し、新設されたDOGEを率いて連邦政府の予算や人員のカットを強行してきた。

 ただ、無断で官僚人事を主導したことで、経済閣僚トップのベッセント財務長官の怒りを買うなど、政権内で風当たりが強まっていた。

 マスク氏の肩書である特別政府職員は年間の勤務が130日以内。トランプ政権は1月20日に発足しており、5月下旬に任期は切れる予定だった。マスク氏自身も最近は、本業の企業経営に軸足を移す考えを示していた。

 一方、マスク氏は政権離脱を表明する直前の27日、トランプ氏が選挙公約で掲げていた大型減税を含む法案について「巨額歳出法案を目の当たりにし、正直に言って失望した。財政赤字を減らすどころか増大させており、DOGEの仕事を台無しにする」と真っ向から批判していた。

 マスク氏は「法案は『大きく』も『美しく』もなり得る。だが、その両方が可能かどうかはわからない」と指摘。トランプ氏が事実上名付けた「大きく美しい法律」という法案の名称が妥当か疑問視した。

 米CBSテレビが6月1日放送予定のマスク氏へのインタビューの一部を、Xで公開して明らかになった。

 法案はトランプ氏が1次政権時代に始めた所得税減税の恒久化や、昨年11月の大統領選で新たに掲げたチップや残業代への課税廃止などを盛り込んだ内容。法案に反対する「身内」の共和党議員をトランプ氏が自ら説き伏せ、下院を22日に通過させていた。

 ただ、減税の穴埋めのための歳出カットや歳入増の政策が不十分で、超党派の米議会予算局(CBO)によると、26年から34年にかけて、連邦政府の財政赤字は約3・8兆ドル(約550兆円)増える見通し。上院では法案が修正される可能性もある。

 トランプ氏は28日、記者団に対し「法案のある面に関しては不満だが、別の面では素晴らしいと思っている。とても大きく美しい法案だ」と主張。マスク氏の発言に関する質問には直接の回答を避けていた。【ワシントン大久保渉】

毎日新聞

国際

国際一覧>