「ガザの命はこれほど軽いのか」 支援の場で撃たれた住民の怒り
「四方八方からイスラエル軍に銃撃された。戦車も砲弾を撃ち込んだ」――。パレスチナ自治区ガザ地区の支援物資の配布拠点付近で1日、230人以上の死傷者を出す惨事が起きた。現場で何があったのか。居合わせた人々の証言から、その一端が見えてきた。
ガザ地区南部ハンユニスのナセル病院。1日午前、毎日新聞の現地助手が駆けつけると、負傷者が次々と運び込まれていた。最南部ラファの配布拠点付近で発砲を受けた人々だった。
「午前5時ごろだった。突然、イスラエル軍が住民に向けて発砲を始めた。戦車も砲弾を撃ち込んだ」。ベッドに横たわり、顔に包帯を巻いたムハンマド・リズクさん(26)は、苦痛に顔をゆがめながら語った。
地面に伏せ、恐怖に震えながら銃声がやむのを待った。様子を見ようと頭を上げた人たちは撃たれて死亡したという。リズクさん自身も銃弾が頭部をかすめ、その場に倒れ込んだ。約1時間後にようやく救急車が到着した。
リズクさんは元々ラファに住んでいたが、現在はハンユニスで暮らす。兄弟がイスラエル軍の空爆で命を落とし、残された5人の子どもを代わりに育てている。自分にも3人の子どもがいて、食料の確保に日々苦心している。
この日も、わずかな望みにすがり、配布拠点まで約10キロ歩いて来たという。しかし、そこで目にしたのは、支援とはほど遠い光景だった。
リズクさんは「世界はなぜ虐殺を止めようとしないのか」と訴え、問いかけた。「国際社会の沈黙はなぜか。ガザ住民だって人間だ。そんなことすら分かってもらえないのか」
ガザでは、イスラエルが3月上旬から約2カ月半にわたって支援物資の配布を停止したため、深刻な食料危機に陥っている。国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、約200万人が暮らすガザの全住民が、何らかの食料不足に直面している。食料支援は、人々にとって文字通り「生命線」だ。
アフメド・モサビーフさん(29)は、中部デルバラーから約20キロ離れたラファを目指して歩き続けた。3日間ほとんど食事を取れず、口にできたのは水だけだったという。歩くのもやっとだったが、5人の子どもたちに食べ物を届けたい一心だった。
だが、たどり着いた先では、ドローン(無人機)などによるイスラエル軍の攻撃が待ち受けていた。「空からも、陸からも、海からも容赦なく撃たれた」と振り返った。
「配布拠点は、我々を救うためではなく、殺すために設けられたのだと悟った」。モサビーフさんは怒りを込めて言った。「支援は滞り、物価は暴騰し、暮らしは困窮している。それなのに、ガザの人の命はこれほど軽いのか」
ガザ広報当局は1日、支援物資の配布拠点は「人道支援の場ではなく、多数の命を奪うためのわなだったことが証明された」と非難した。一方、イスラエル軍は配布拠点やその周辺での発砲を否定している。
この日、30人以上が死亡した配布拠点は、米国とイスラエルが後押しする「ガザ人道財団」(GHF)が運営している。5月27日にも、食料を求めて殺到した住民に対しイスラエル軍が発砲し、1人が死亡、40人以上が負傷するなど、混乱が続いている。【エルサレム松岡大地】
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