ロシアとウクライナ、和平に向け条件提示 立場の隔たり浮き彫りに

2025/06/03 10:12 

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 ロシアのウクライナ侵攻を巡る両国の今年2回目の直接協議が2日、トルコ・イスタンブールで開かれた。双方が和平に向けた条件などを盛り込んだ「覚書」を提示したが、立場の隔たりが改めて浮き彫りとなった。捕虜交換では合意し、ともに協議を継続する方針という。

 覚書では、ウクライナ側は30日間の無条件停戦や、連れ去られた子供たちの返還などを求めた。一方の露側は、占領を進めるウクライナ東・南部4州などをロシア領として法的に承認することや、外国によるウクライナへの軍事支援の停止を求めるなど、強硬な主張を繰り返した。

 今回の協議では、5月16日の前回と同じく、露側はメジンスキー大統領補佐官、ウクライナ側はウメロフ国防相がそれぞれ代表団を率いた。協議は1時間強で終了した。

 協議後、メジンスキー氏は、露側の覚書について「いかにして真に長期的な和平を実現するかを提示した」と報道陣に話し、相手側の検討を待つとの考えを示した。

 一方、ウメロフ氏は「(停戦が)平和的な解決の基礎となる」と強調した。露側の覚書を受けて、「次の段階」を決めるには1週間ほどを要するとの見通しを語った。ウクライナ側は6月下旬にも次回の協議を開くことを提案している。

 タス通信が2日に報じた露側の覚書によると、露側は停戦条件として、4州からのウクライナ軍の撤退▽ウクライナに対する外国の軍事支援の停止▽第三国のウクライナへの軍事的関与の排除▽大統領選の実施--などを列挙した。

 さらに、紛争解決の原則として、ウクライナの「中立化」「非同盟化」を訴え、4州やクリミア半島のロシアへの編入を国際法上、承認することも求めている。ウクライナ軍の兵員や軍備の上限の設定、経済制裁の解除なども挙げた。

 これに対し、ロイター通信などによると、ウクライナ側の覚書には、陸海空での最低30日間の停戦と友好国による停戦監視▽全ての捕虜やロシア領に連れ去られた子供たちの返還▽両国首脳による会談--などが記載された。

 ウクライナ側は協議で、露側に返還を求める子供約400人のリストも手渡した。

 一方、協議では、重傷・重病の捕虜や25歳以下の捕虜について、全員を対象に交換することで合意した。

 ロイターによると、ウクライナのゼレンスキー大統領は2日、交換の規模がそれぞれ最大1200人となるとの見通しを明かした。また、メジンスキー氏は、露側がウクライナの兵士らの遺体6000体を引き渡すことでも合意したと述べた。【モスクワ山衛守剛、ベルリン五十嵐朋子】

毎日新聞

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