米西部コロラド州の連邦地裁は４日、パレスチナ自治区ガザ地区で拘束されているイスラエル人の人質に連帯を示す行進の参加者らが襲撃された事件を巡り、訴追されたエジプト人容疑者の家族に対する強制送還の差し止めを命じた。

　連邦当局は、容疑者の妻子６人を直ちに国外追放する方針を示していたが、地裁判事は「手続きを経ない強制送還は回復不能な損害をもたらす」との判断を示した。

　ＡＰ通信などによると、エジプト人のモハメド・サブリ・ソリマン容疑者（４５）は、コロラド州ボルダー中心部で１日、「パレスチナに自由を」と叫びながら、行進参加者に火炎瓶を投げつけた疑いがある。１５人を負傷させたなどとして、ヘイトクライム（憎悪犯罪）などの容疑で翌日に訴追された。

　ソリマン容疑者は、２０２２年８月に観光ビザで入国して亡命申請したが認められず、ビザの期限が切れた状態だったという。妻子も共に申請をしていた。

　連邦当局は容疑者が不法滞在者だと主張し、事件発生の２日後に妻子６人を拘束した。妻子側は「親族の犯罪のために個人を処罰することは明らかに違法だ」と訴えていた。【ワシントン金寿英】