インドが米国製品に報復関税措置へ WTOに通知、関税交渉難航

2025/07/05 17:22 

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 インド政府は、米国による自動車と自動車部品への25%の追加関税に対抗するため、米国製品に対して報復関税を課す方針を世界貿易機関(WTO)に通知した。トランプ米政権による「相互関税」の上乗せ分の停止期限が9日に迫る中、米国との貿易協定締結に向けた交渉は難航しており、インド側は報復措置を交渉材料にする狙いがあるとみられる。

 インドのWTOへの通知は4日付。WTOによると、インドは、すでに発動されている自動車と自動車部品の関税によって米国の新たな関税収入が約7億2300万ドル(約1044億円)に上ると指摘。米国から「同額の関税」を徴収することになると伝達した。報復関税の対象品目や関税率は明かしていない。

 貿易協定締結に向けた交渉で、インドは今月9日までに米国との暫定合意を目指していた。しかし、農産物の輸入拡大を巡って両者の溝が埋まらず、交渉が難航している。

 地元メディアによると、インドのゴヤル商工相は4日、「インドは期限に基づいて貿易協定を結ぶことは決してない。協定が適切に締結され、国益にかなうものであれば受け入れる」と発言した。

 インドは5月、トランプ政権による鉄鋼・アルミニウムを対象とした関税についてもWTOに対抗措置をとると通知していた。【ニューデリー松本紫帆】

毎日新聞

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