盧溝橋事件から88年 中国が式典、習主席は出席せず

2025/07/07 19:19 

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 日中全面戦争の発端となった盧溝橋事件(1937年7月7日)発生から88年を記念する式典が7日午前、北京市郊外の盧溝橋近くにある「中国人民抗日戦争記念館」であった。国営新華社通信が伝えた。

 戦後80年の今年を中国政府は「抗日戦争勝利80年」と位置づけている。式典には共産党序列5位の蔡奇・党政治局常務委員が出席。最高指導部メンバーがこの式典に出席するのは2022年以来となる。

 蔡氏は式典での演説で「88年前の今日、日本軍国主義が盧溝橋事件を意図的に引き起こし、対中侵略戦争を強引に開始した」と主張。「共産党は抗日戦争の最前線で勇敢に戦い、中心的な役割を果たした」と述べ、歴史的な節目を党の指導を確固とし、民族の団結を図る機会とすべきだと強調した。

 中国メディアはこの日、全国各地で開かれた「抗日」式典の模様を伝え、細菌兵器の開発を進めた旧日本軍の「731部隊」など日本の戦争責任に関する報道を展開した。

 一方で、習近平国家主席が7月の盧溝橋事件の式典に出席したのは14年のみであり、例年通り今年も参加を見送った。

 トランプ米政権との対立を見据える習指導部は日本との関係悪化を望んでいない。6月末には日本産水産物の全面禁輸を一部解除したばかり。「抗日」の歴史を重視しつつ、日中関係への過度な刺激も避ける硬軟両様のシグナルが見て取れた。【北京・河津啓介】

毎日新聞

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