米テキサス州洪水、173人が行方不明 死者は少なくとも110人に

2025/07/09 10:41 

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 米メディアによると、米南部テキサス州の洪水による被害は、発生から5日目の8日時点で死者が少なくとも110人に上った。アボット州知事(共和党)は同日、特に被害が大きかった州中部カー郡を中心に、173人の行方不明者がいると明らかにした。トランプ大統領は11日に被災地を視察する予定だ。

 161人が行方不明になっているカー郡では、氾濫したグアダルペ川近くのキリスト教系の女子キャンプ場などで、子ども30人を含む87人の死亡が確認された。地元では以前から浸水リスクが指摘されていたが、屋外サイレンなどの警報システムは設置されていなかったという。米CBSテレビによれば、地元当局は導入を検討したが、資金不足から見送られていた。

 人的被害の拡大を受け、地元住民や共和党内からも調査と説明責任を求める声が高まっている。記者団から、誰が今回の災害の責任を問われるべきかと問われたアボット氏は「負けたチームは責任のなすり合いをする」と返し、まずは救出活動を優先すべきだとの考えを示した。

 カー郡周辺の広い範囲では、3日夜から4日未明にかけての数時間で、地域の年間降水量のおよそ3分の1に相当する約250~380ミリの大雨が降った。気候変動の影響を専門にする国際研究グループ「クリマメーター」は、1950年以降の地域の気象パターンを分析した初期報告で、気候変動が極端な豪雨を引き起こしやすい環境を作り出していたと指摘。土地利用の変化や警報システムの不備が被害の拡大を招いた可能性があると分析した。【ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞

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