イスラエル軍、ガザ市へ攻撃激化 「ハマスが使用」と高層住宅を破壊

2025/09/07 11:52 

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 イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ地区北部の最大都市ガザ市の制圧作戦が激化している。5、6日には人口密集地の高層住宅を相次いで破壊。市内の住民に対し、南部ハンユニスの「人道地区」へ避難するよう改めて呼びかけた。

 イスラエル軍によると、人道地区には今後、野戦病院が設置され、水や食料などを運び込むとしている。ただ、イスラエル軍はこれまでに避難場所に指定している地区でも空爆を繰り返してきた。人道危機の解消にはほど遠い状況が続いており、住民に度重なる避難を強いることへの非難も高まっている。

 ガザ市では5日から2日連続で高層住宅を標的に攻撃を実施。標的になった建物はいずれも土煙を上げて完全に倒壊した。死傷者の有無などは明らかになっていないが、中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」などによると、周囲には避難民のテントが集まっていたという。

 イスラエル軍は高層住宅をイスラム組織ハマスが使用していたと主張。カッツ国防相は5日、X(ツイッター)で「地獄の扉が開く」と警告し、高層住宅が倒壊する動画も投稿した。これに対し、ハマスは高層住宅の軍事利用を否定しており、イスラエル軍の攻撃は「住民の移住を強制するのが目的だ」と批判した。

 また、ハマスは5日、拘束中のイスラエル人の人質2人の動画を公開した。8月下旬にガザ市内で撮影した動画としており、ガザ市への軍事作戦を抑止する狙いがあるとみられる。ただ、イスラエル首相府は5日の声明で「プロパガンダによって我々が(ハマス壊滅などの)目的を変えることはない」と強調した。

 一方、ロイター通信などによると、トランプ米大統領は6日、「ハマスと非常に深い交渉を行っている」と語った。詳細は明かさなかったが、ハマスに対し、人質全員を解放するよう要請したとしている。

 停戦交渉を巡っては、ハマスは8月、60日間の一時停戦を条件に人質の一部を解放することに同意したが、イスラエル側は人質全員の解放を要求しており、双方の隔たりは埋まっていないとみられる。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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