10月1日から米政府機関の一部閉鎖か 影響は?職員に「脅し」も

2025/09/29 17:35 

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 米連邦議会で10月以降分の政府予算案成立のめどが立たず、10月1日から政府機関が一部閉鎖に追い込まれる可能性が高まっている。共和、民主の与野党は土壇場まで話し合いを続けるが、妥協が成立するかは不透明だ。

 閉鎖が起きれば第1次トランプ政権下の2018年12月~19年1月の35日間以来となる。期間中は通常、航空管制など緊急性の高い公共サービスでは職員が無給で働く一方、その他は自宅待機となる。社会や経済の混乱は避けられず、日本にも波及する恐れがある。

 米国の会計年度は10月1日に始まる。共和党は上下両院で多数派を占めるが、上院(定数100)で予算案を成立させるためには、議事妨害を阻止できる60票を確保する必要があり、民主党の一部議員からの協力が欠かせない。

 共和、民主両党は10月以降の当面の運営資金を賄う「つなぎ予算案」について審議してきた。9月19日、下院では賛成多数で通過したものの、上院では否決された。

 民主党は譲歩の見返りとして年末で期限切れとなる医療費助成の延長などを求めている。ただ共和党上院トップのスーン院内総務は28日、NBCテレビの番組で「民主党は米国民を人質にしている」と批判し、政府閉鎖は「全面的に民主党次第だ」とはねつけている。

 またトランプ政権側は政府閉鎖に追い込まれた場合、出勤しなくなった職員の一部をそのまま解雇して政府機能の縮小に踏み切る意向も示している。民主党上院トップのシューマー院内総務は「脅しだ」と反発している。

 第2次トランプ政権では今年3月にも共和党の示したつなぎ予算案の協議が難航したが、シューマー氏が数人の議員とともに賛成に回って成立にこぎ着けた。米紙ワシントン・ポストによると、背景には実業家イーロン・マスク氏が当時率いていた政府効率化省(DOGE)が今回と同様、予算失効を口実に職員の大量解雇に踏み切る可能性を懸念したためだった。

 ただ当時、民主党内からも「トランプ政権に屈した」として激しく非難された経緯があり、シューマー氏は今回は徹底抗戦の構えを崩していない。

 トランプ大統領と与野党議会指導部は29日にホワイトハウスで会談し、政府閉鎖の回避に向けて協議する。トランプ氏は25日にも予定された会談を「生産的でない」として一旦はキャンセルしたが、ギリギリまで交渉する姿勢を示すことで予算が失効した場合に責任回避する思惑もありそうだ。【ワシントン金寿英】

毎日新聞

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