チェコ総選挙でポピュリスト政党が勝利確実 ウクライナ支援に反対

2025/10/05 08:50 

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 チェコ下院選(定数200)が3、4日に実施され、バビシュ前首相率いる最大野党のポピュリスト政党「ANO2011」が第1党となることが確実となった。現政権はロシアの侵攻を受けるウクライナを積極的に支援してきたが、バビシュ氏は反対しており、路線転換が予想される。

 チェコ統計局によると、開票率99・5%時点の得票率は、ANO2011が34・7%、フィアラ首相の中道右派連合「SPOLU」が23・2%だった。過半数の議席を獲得した政党はなく、今後はANO2011を中心とした連立交渉が始まる見通しだ。

 2017~21年に政権を率いたバビシュ氏は、選挙戦で賃金引き上げや減税、ウクライナへの武器供与の停止を掲げた。ロシアの脅威を強調する与党を「パニックを起こそうとしている」と批判した。

 バビシュ氏は親露的で、ウクライナ支援に否定的なハンガリーのオルバン首相に近い。首相に返り咲けば、ウクライナ支援で結束する欧州連合(EU)の中で、ハンガリーとともに足並みを乱す勢力となる可能性がある。

 バビシュ氏は、得票率7・9%で日系のトミオ・オカムラ氏が率いる右派政党「自由と直接民主主義」などとの連立を視野に入れている。同党はEUや北大西洋条約機構(NATO)からの離脱を掲げる。

 バビシュ氏は「親EU、親NATO」を明言しているが、連立協議の進展次第では、EUなどとの協調路線が見直される恐れもある。【ベルリン五十嵐朋子】

毎日新聞

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