ハマス、イスラエル軍のガザ完全撤退を要求 人質解放と引き換え

2025/10/08 10:08 

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 パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとイスラエルの停戦協議を巡り、ハマス幹部は7日、中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」に対して、すべての人質の解放と同時に、イスラエル軍がガザから完全撤退すべきだとの認識を示した。イスラエルのネタニヤフ首相は、完全撤退はハマスの武装解除が条件との立場で、交渉の長期化も懸念される。

 ハマス幹部によると、7日の交渉は人質解放のスケジュールとイスラエル軍の撤退範囲に焦点を当てて行われたという。ハマスはイスラエル軍の完全撤退を含めた恒久的な停戦の国際的な保証も求めた。

 トランプ米大統領が提案した和平案では、イスラエルが合意を正式に受け入れてから72時間以内にハマスが48人の人質全員を解放し、その後、段階的に軍が撤退するとされている。

 一方、トランプ氏は7日、ホワイトハウスで記者団に、合意が「非常に近い」との見方を改めて示した。「中東に平和をもたらす可能性がある。それはガザ(での停戦)を超えたものだ」と指摘。人質解放後にイスラエルが戦闘を再開させないように「可能なことはすべて行う。我々は大きな力を持っている。全員が合意を順守するよう全力を尽くす」とも述べた。

 また、トランプ氏は米側から新たな交渉チームがエジプトに向けて出発したと明らかにした。米ニュースサイト「アクシオス」によると、ウィットコフ中東担当特使とトランプ氏の娘婿のクシュナー元大統領上級顧問が派遣された。これまでの協議は実務的な調整が中心だったが、両氏が加わった後に正念場を迎える見通しだ。

 複数の米高官はアクシオスに対し、今週中に合意が成立する可能性について「慎重ながらも楽観的」との見方を示した。ウィットコフ、クシュナー両氏は合意に達するまで現地を離れないという。協議には、カタールのムハンマド首相兼外相らも参加するとみられる。

 ガザの保健当局によると、これまでの死者は7日時点で6万7173人で、このうち子供は2万179人に上った。食料不足も深刻で、子供154人を含む460人が餓死した。

 停戦交渉が続く中、イスラエル軍は攻勢を弱めているものの、断続的な爆撃を続けている。アルジャジーラによると、南部ハンユニスでは7日、イスラエル軍の攻撃で子供を含む複数の死傷者が出た。ハマスが米国の和平案受け入れを発表した3日以降の死者は100人を超えている。【エルサレム松岡大地、カイロ金子淳、ワシントン松井聡】

毎日新聞

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