ガザ和平交渉「第1段階」合意 仲介のトランプ氏が中東訪問か

2025/10/09 10:42 

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 パレスチナ自治区ガザ地区の和平交渉を巡り、トランプ米大統領は8日、自身のソーシャルメディアで、イスラエルとイスラム組織ハマスが「第1段階」の合意に達したと発表した。ハマスは拘束する全ての人質を解放し、イスラエル軍はガザの一部地域から撤退する。

 ハマスも合意を認める声明を出し、イスラエルも今後、合意を承認する方針を示した。2023年10月から続く戦闘の終結につながるか、注目される。

 トランプ氏は投稿で、合意は「強固で永続的な和平に向けた第一歩だ」と強調。「すべての人質が間もなく解放され、イスラエルは合意した線まで軍を撤収させる」と説明した。

 ガザ情勢を巡っては、トランプ政権が9月、戦闘終結と戦後統治に関する20項目の和平案を提示し、イスラエル、ハマスともに支持を表明。仲介を担うカタールやエジプトなども歓迎する意向を示し、10月6日から合意内容の詳細について交渉が進められていた。

 ハマスは声明で、交渉を仲介したトランプ氏やアラブ諸国などに謝意を示したうえで、イスラエルが合意内容を守ることを保証するよう要請した。イスラエルのネタニヤフ首相は、X(ツイッター)に「イスラエルにとって素晴らしい日だ」と投稿。9日中に閣議を開き、合意を承認することを明らかにした。

 イスラエルメディアによると、ハマスとイスラエルは9日に合意に正式に署名し、11日にも人質解放が始まるとみられている。

 トランプ氏は合意の発表に先立ち、ホワイトハウスで記者団に、合意が「非常に近い」との認識を改めて示した上で、交渉妥結後の「おそらく日曜(12日)か土曜(11日)」にエジプトを訪問する可能性に言及。ガザの視察に関しても排除しなかった。

 また、米ニュースサイト「アクシオス」に対し、イスラエルを訪問し、議会で演説したい意向も明かした。ホワイトハウスのレビット報道官によると、トランプ氏は10日に定期的な健康診断を受診した後に、中東を訪問することを検討しているという。

 和平案では、ハマスが拘束している48人の人質全員を引き渡し、イスラエルも収監、拘束中のパレスチナ人1900人超を釈放する。イスラエル軍は段階的にガザから撤収し、戦闘終結を実現する。「第2段階」ではハマスの軍事インフラを破壊し、ガザを「非軍事化」する一方、イスラエルはガザの併合や占領をしないことも明記されている。

 ガザの戦闘は23年10月、ハマスがイスラエルに越境し、民間人ら約1200人を殺害、251人を人質として拉致したのをきっかけに始まった。

 人質の一部は23年11~12月と今年1~3月の一時停戦中に解放された。これまでの戦闘でガザ側の死者は6万7000人以上に上り、食料不足などによる人道危機も深刻化している。【ワシントン松井聡、カイロ金子淳、エルサレム松岡大地】

毎日新聞

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