トランプ米大統領は８日、自身のソーシャルメディアで、パレスチナ自治区ガザ地区の和平交渉を巡り、イスラエルとイスラム組織ハマスが人質の解放や、イスラエル軍の一部地域からの撤退に関して合意したと発表した。「強固で永続的な和平に向けた第一歩だ」と強調した。人質解放が順調に行われ、戦闘終結につながるのか注目される。

　ガザ情勢を巡っては、米国のトランプ政権が９月、戦闘終結と戦後統治に関する２０項目の和平案を提示。イスラエル、ハマスともに支持を表明していた。

　仲介を担うカタールやエジプトなども歓迎する意向を示し、１０月６日から合意内容の詳細について交渉が進められていた。

　和平案では、ハマスが拘束している４８人の人質全員を引き渡し、イスラエルも収監、拘束中のパレスチナ人を１９００人以上釈放する。イスラエル軍は段階的にガザから撤収し、戦闘終結を実現する。ハマスの軍事インフラを破壊し、ガザを「非軍事化」する一方、イスラエルはガザの併合や占領をしないことも明記されている。

　ガザの戦闘は２０２３年１０月、ハマスがイスラエルに越境し、民間人ら約１２００人を殺害、２５１人を人質として拉致したのをきっかけに始まった。

　人質の一部は２３年１１～１２月と今年１～３月の一時停戦中に解放された。これまでの戦闘でガザ側の死者は６万７０００人以上に上り、食料不足などによる人道危機も深刻化している。【ワシントン松井聡、カイロ金子淳、エルサレム松岡大地】