ハマスが拘束した人質の運命は 3分の1が死亡か 遺体で返還も

2025/10/09 11:09 

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 パレスチナ自治区ガザ地区の和平交渉を巡り、トランプ米大統領は8日、ハマスが拘束する全ての人質を解放し、イスラエルがガザの一部から撤退することで合意したと発表した。

 ハマスは、2023年10月にイスラエル側へ越境した際、人質251人を拉致したとされ、中には乳幼児も含まれていた。人質たちはどんな運命をたどったのだろうか。

 イスラエル外務省などによると、ハマスは越境攻撃を終えた時点で、14~15年に拘束した4人を含め、合計で255人の人質を取っていた。

 これまでに解放された生存者は140人。その多くは23年11~12月と25年1~3月の一時停戦中、イスラエルが収監していたパレスチナ人の釈放と交換する形で引き渡された。また、イスラエル軍による救出作戦などで、8人の生存者が発見され、保護された。

 一方、イスラエル軍の発見時にすでに死亡していたり、双方の合意に基づき一時停戦中に遺体で返還されたりした人質は59人に上る。このうち3人は23年12月、イスラエル軍の誤射により死亡した。また、停戦中の25年2月には、生後9カ月で拉致された男児と当時4歳だった兄の遺体も返還された。

 ハマスは現在、48人の人質を拘束しているとされ、このうち14年から拘束されていたイスラエル兵1人を含む少なくとも26人は死亡したとみられている。255人のうち3分の1が死亡した計算になる。

 また、イスラエルもガザ地区やヨルダン川西岸地区で多数のパレスチナ人を「政治犯」として拘束している。中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」によると、ガザの戦闘開始以降、約3万人のパレスチナ人が拘束された。すでに釈放された人も少なくないが、今年4月時点の収監者数は戦闘開始時の約2倍となる約1万人に上っている。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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