トランプ氏、ガザ停戦合意に署名し「実績」強調 来年の平和賞視野?

2025/10/14 07:29 

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 トランプ米大統領は13日、エジプト東部シャルムエルシェイクを訪れ、パレスチナ自治区ガザ地区の停戦合意に署名した。トランプ氏は署名に先立ち、イスラム組織ハマスとイスラエルの停戦は「信じられないほどうまくいっている」と語り、交渉の成果を強調した。トランプ氏としては、来年のノーベル賞も視野に、平和の構築者としての実績をアピールする狙いがあるとみられる。

 合意文書は仲介国のエジプト、カタール、トルコの首脳も署名した。トランプ氏はこの文書について「多くのルールや規制を定めたもので非常に包括的だ」としている。だが、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、停戦合意を進展させるための具体的な内容はなかったという。

 トランプ氏とエジプトのシシ大統領は署名後、ガザ情勢を協議する首脳級の和平会議も共催した。会議には英仏独などの欧州諸国やアラブ諸国など20カ国以上の首脳らが出席。パレスチナ自治政府のアッバス議長も参加した。

 シシ氏は会議冒頭、停戦を主導したトランプ氏をたたえる一方、「(パレスチナ国家樹立による)2国家解決こそ平和への唯一の道だ。パレスチナ人はイスラエル人たちと並び、独立国家に住む権利がある」と訴えた。一方、トランプ氏は「ガザの流血は終わった。住民は家に戻り、人質も帰還した」と強調。イスラエルとの国交を正常化させる「アブラハム合意」の拡大にも意欲を見せた。

 エジプト大統領府によると、会議ではガザの戦後統治や治安維持、復興などについて議論。停戦合意を「次の段階」に進めるための協議を始める必要性も確認した。イタリアのメローニ首相は会議後、記者団に「治安や人道問題、政治面など、必要なことは何でも支援する用意がある。トランプ大統領が大きな機会を作ってくれた」と語った。

 ガザを巡っては13日、ハマスが生存者20人全員を解放したのに続き、死亡した4人の遺体をイスラエルに引き渡した。和平計画ではハマスは遺体を含む人質全員を解放することで合意していたが、一部の遺体はイスラエル軍が管理する地域にあるとみられる。ハマス側は「回収するまでに時間が必要だ」としている。

 一方、イスラエルのカッツ国防相は「遅延や意図的な責任逃れは明らかな合意違反で、それに応じて対応する」と警告。人質の家族らで作る団体は、すべての遺体が返還されるまで合意の履行の停止を求めるとの声明を出した。【シャルムエルシェイク金子淳、エルサレム松岡大地】

毎日新聞

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