ガザ空爆 米副大統領「停戦は維持されている」 人質巡り非難の応酬

2025/10/29 16:12 

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 イスラエル軍は28日夜、パレスチナ自治区ガザ地区の最大都市ガザ市を空爆した。中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」などが報じた。イスラム組織ハマスの戦闘員が同日、南部ラファでイスラエル軍を攻撃したことへの報復とみられる。10日の停戦発効後もイスラエル軍は散発的に空爆などを続けており、停戦のもろさが改めて浮き彫りになった。

 ロイター通信などによると、攻撃があったのはガザ市のシファ病院近くで、少なくとも2人が死亡、4人が負傷した。アルジャジーラの中継では、夜空に空爆によるものとみられる白煙が上がる様子が報じられた。南部ハンユニスやラファでも銃撃や爆発があったとの情報もある。

 イスラエルメディアによると、ハマスの戦闘員は28日、ラファでイスラエル軍の部隊に対して対戦車砲を発射したほか、狙撃手による攻撃も行ったとされる。これを受け、イスラエル軍は砲撃を行い応戦。その後、ネタニヤフ首相がハマスに対して「強力な報復」を行うよう軍に指示した。

 ただ、ハマスは声明でラファでの攻撃には「関与していない」と述べ、引き続き停戦合意を維持する姿勢を強調。バンス米副大統領も「停戦は維持されている」との認識を示した。

 イスラエル軍は19日、ハマスの攻撃で兵士が死傷したとして、ガザ各地で大規模な空爆を行い、40人以上が死亡した。その後は大規模な衝突は起きていないが、イスラエル軍は局所的な攻撃を繰り返している。

 イスラエルとハマスは人質の遺体の返還を巡り、互いに非難の応酬を続けている。

 イスラエル軍は28日、ハマスが人質の遺体を土砂の中に埋めた後、赤十字国際委員会(ICRC)のメンバーが来てから改めて掘り起こす場面を空撮したとする動画を公開した。軍は「ハマスは遺体発見に苦労していることを印象づけようとしている」と批判した。

 一方、ハマスはイスラエルが遺体の捜索に必要な重機などの搬入を拒んでいると批判。28日もガザ南部で人質の遺体を発見したとしつつ、「イスラエルの侵略行為のため引き渡しを延期する」と発表した。ガザにはまだ13人の人質の遺体が残されており、イスラエルがさらに反発を強めるのは必至だ。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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