ガザ空爆、死者は子供46人含む100人超 停戦のもろさが露呈

2025/10/29 20:44 

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 イスラエル軍は28日夜、パレスチナ自治区ガザ地区を空爆し、中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」などによると、子供46人を含む104人以上が死亡した。

 イスラム組織ハマスの戦闘員が同日、南部ラファでイスラエル軍を攻撃したことへの報復とみられる。10日の停戦発効後、軍が大規模な攻撃を行ったのは19日以来2回目で、停戦のもろさが改めて浮き彫りになった。

 報道によると、攻撃があったのは北部の最大都市ガザ市や南部マワシ地区などで、住宅や学校などが標的になった。攻撃は29日も続き、中部デルバラーでは避難民のテントが爆撃されて死傷者が出たという。

 イスラエルメディアによると、ハマスの戦闘員は28日、ラファでイスラエル軍の部隊に対戦車砲を発射したほか、狙撃手による攻撃も行い、兵士1人が死亡した。これを受け、ネタニヤフ首相がハマスに「強力な報復」を行うよう軍に指示していた。

 ただ、ハマスは声明でラファでの攻撃には「関与していない」と述べ、引き続き停戦合意を維持する姿勢を強調。トランプ米大統領も29日、「(停戦を)危うくするものは何もない」と述べ、停戦は維持されているとの認識を示した。

 イスラエル軍は同日、「停戦を維持するが、違反には断固として対応する」と表明した。

 軍は19日にも、ハマスの攻撃で兵士が死傷したとしてガザ各地で大規模な空爆を行い、40人以上を殺害。その後も散発的な攻撃を繰り返している。

 イスラエルとハマスは人質の遺体の返還を巡っても、非難の応酬を続けている。

 イスラエル軍は28日、ハマスが人質の遺体を土砂の中に埋めた後、赤十字国際委員会(ICRC)のメンバーが来てから改めて掘り起こす場面を空撮したとする動画を公開した。軍は「ハマスは遺体発見に苦労していることを印象づけようとしている」と指摘した。

 一方、ハマスはイスラエルが遺体の捜索に必要な重機などの搬入を拒んでいると批判。28日もガザ南部で人質の遺体を発見したとしつつ、「イスラエルの侵略行為のため、引き渡しを延期する」と発表した。ガザにはまだ13人の人質の遺体が残されており、イスラエルがさらに反発を強めるのは必至だ。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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