英国王、アンドルー王子の「王子」剥奪 邸宅も退去 少女虐待疑惑

2025/10/31 06:50 

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 英王室は30日、チャールズ国王が弟アンドルー王子の「王子」などの称号や勲章を剥奪すると発表した。アンドルー氏は、親交があった米富豪エプスタイン氏による少女らへの性的虐待事件に関与した疑惑を追及されている。本人は否定しているが、国王は異例の措置に踏み切り、事実上その主張を退けた形だ。

 アンドルー氏の名称は今後、「アンドルー・マウントバッテン・ウィンザー」となる。ロンドン郊外ウィンザーグレートパーク内にある邸宅「ロイヤル・ロッジ」からも退去させられ、英BBC放送によると、英東部ノーフォークの国王の私邸「サンドリンガム・ハウス」に移るという。

 王室は声明で「制裁」の理由について「国王と王妃は、あらゆる虐待の被害者への思いと心からのお悔やみを明確にしたいと望んでいる」と説明した。

 アンドルー氏の娘2人については、「君主の息子の娘」であるため、1917年の国王ジョージ5世の勅許状に基づき、「王女」の称号が維持される。

 英下院図書館によると、王子の称号剥奪は同年のアーネスト・オーガスタス王子以来。当時は第一次大戦中で、敵国ドイツを支持したことが理由だった。

 アンドルー氏は2001年、エプスタイン氏(19年に勾留施設内で死亡)側から当時17歳の女性を紹介され、性的虐待をした疑いがある。女性は今年4月に自殺。生前に疑惑の詳細などをつづった回顧録が今月21日に出版された。

 アンドルー氏は出版前の17日に「ヨーク公」の称号などの返上を発表していた。親しい中国人実業家が中国共産党のスパイだった疑惑も報じられている。【ロンドン福永方人】

毎日新聞

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