APEC首脳会議が韓国で開幕 自由貿易支持の共同宣言採択が焦点

2025/10/31 10:15 

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 日本や米国、中国など21カ国・地域でつくるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が31日、2日間の日程で韓国南東部・慶州で開幕した。米トランプ政権の関税政策に代表される保護主義的な風潮が広がる中、自由貿易体制を支持する共同宣言を採択できるかが焦点となる。

 議長国・韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は開幕演説で、「自由貿易秩序が激しく変化し、グローバル経済の不確実性が高まる中で、貿易や投資の推進力が落ちている」と懸念を表明。「容易ではない挑戦だが、協力と連帯だけが、私たちをより良い未来に導く確実な答えだ」と訴えた。  トランプ大統領は29日から訪韓していたが、30日に韓国を離れ、会議を欠席した。  共同宣言に自由貿易を支持する内容を盛り込むことを巡っては、米国とほかの加盟国との間で意見の隔たりがある模様だ。韓国の趙顕(チョヒョン)外相は30日、「(共同宣言の)採択に非常に近づいているが(文言については)終盤の交渉をしている」と述べるにとどめた。

 前回のAPEC首脳会議は、トランプ氏が2024年11月の大統領選で当選した直後、南米ペルーで開かれた。バイデン前大統領も出席し、「自由で開かれた、公正で透明性のある貿易・投資環境の実現」などを盛り込んだ共同宣言を採択。翌年1月に大統領に就任するトランプ氏をけん制する内容だった。

 今回の首脳会議では、ロシアによるウクライナ侵攻やパレスチナ自治区ガザ地区の情勢について、各国首脳がどのように言及するかも注目される。

 APECは1993年に始まった経済会議。持続可能な成長に向けた貿易・投資の自由化や、地域経済統合の推進を掲げている。【慶州・日下部元美】

毎日新聞

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