病院で患者ら460人超を虐殺 スーダン内戦 準軍事組織関与か

2025/10/31 07:10 

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 正規軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の内戦が続くスーダンで病院が襲撃され、患者や付き添いの人など460人以上が殺害された。世界保健機関(WHO)が29日明らかにした。ロイター通信などによると、RSFが関与した可能性が高いという。

 虐殺があったのは、西部ダルフール地方の町ファシェルにあるサウジ産科病院。英公共放送BBCや地元医師団体などによると、ファシェルはこれまでは正規軍の支配下にあったが、RSFが26日に制圧。28日に病院を襲撃し、患者らを殺害した。さらに、医療従事者6人を誘拐し、15万ドル(約2300万円)の身代金を要求している。

 ファシェルでは1年半にわたり包囲戦が続き、爆撃や食料不足などにより1万4000人以上が死亡した。病院は軒並み稼働を停止しており、サウジ産科病院だけが傷病者の治療に当たっていた。RSFはファシェル制圧後も住民の処刑を続け、3日間で約1500人が殺害されたという。

 WHOのテドロス事務局長はX(ツイッター)で「深いショックを受けている。患者や医療関係者、医療施設はすべて国際人道法の下で保護されなければならない」と訴えた。

 スーダン内戦は2023年4月、RSFが反乱を起こしたのを機に始まり、首都ハルツームを含む各地で激しい戦闘が続いた。被害の全容は分かっていないが、これまでに15万人以上が死亡したとみられる。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、人口の4分の1に迫る約1200万人が国内外へ避難している。

 RSFは00年代に激化したダルフール紛争で、バシル大統領(当時)の独裁体制を支えたアラブ系の民兵組織「ジャンジャウィード」を前身とする。西部を中心に支配領域を確保し、北部や東部を拠点とする正規軍と戦闘を続けている。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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