トランプ氏の核実験指示、国内外で波紋 米軍幹部も真意図りかねる
トランプ米大統領の唐突な核実験の実施指示が、国内外で波紋を広げている。トランプ氏は「他国の核実験計画を踏まえ、対等な条件で実施する」と主張したが、2000年代以降で核爆発を伴う核実験を行った国は北朝鮮しかない。困惑や懸念の声が相次ぎ、専門家は「連鎖反応を招きかねない」と警告している。
「何年も実験を停止してきたが、他国が行っているなら我々もやるべきだ」。トランプ氏は30日、韓国から帰国する大統領専用機内で、改めて核実験が必要との認識を示した。バンス副大統領も同日、「核兵器が正常に機能するか確認することは重要だ」と述べ、トランプ氏を擁護した。
トランプ氏は、中国の習近平国家主席と韓国で会談する直前、自身のソーシャルメディアで国防総省に核実験の実施を指示したと投稿。ロシアや中国の核保有にも触れ、核戦力での対抗姿勢をにじませた。
一方、戦略核兵器を運用する米戦略軍のコレル副司令官は、30日の上院軍事委員会の公聴会で「中露は爆発を伴う核実験を実施していない」と指摘。トランプ氏が「対等な条件」に言及していることから、「大統領の言葉は核実験を意味していないと推測している」と述べ、真意を測りかねている様子だった。
米国は1992年以降、核爆発を伴う核実験のモラトリアム(一時停止)を維持している。一方、ロシアも旧ソ連時代の90年を最後に核実験を凍結し、中国も96年以降は実施していない。00年代に入って、核実験を実施した国は北朝鮮だけで、17年9月を最後に行っていない。
米紙ニューヨーク・タイムズは、核弾頭を搭載できるロシアの新型原子力魚雷「ポセイドン」の稼働実験を、トランプ氏が「核実験と混同している可能性がある」と指摘。ロシアは10月29日に稼働実験の成功を発表し、ウクライナや米欧をけん制している。
トランプ氏はソーシャルメディアの投稿で「(実験の)プロセスは直ちに始まる」としている。一方、米連邦議会調査局は今年8月の報告で、米国は核爆発を伴う核実験の実施について、大統領の決定から「24~36カ月以内に再開できる態勢を維持している」と説明。直ちに実施できるわけではないとの見方がある。また、トランプ氏は国防総省に指示したとしているが、実際の核実験の実施主体はエネルギー省核安全保障局(NNSA)だ。
米シンクタンク「軍備管理協会」のキンボール会長は30日の声明で、トランプ氏の核実験実施の意向表明について、「敵対国の連鎖反応を引き起こし、核不拡散条約を瓦解(がかい)させかねない」と批判。核実験全面禁止条約(CTBT)機構準備委員会のフロイド事務局長も同日の記者会見で、「どんな状況でも核実験は許されない」と反対した。【ワシントン金寿英】
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