NY市長に急進左派マムダニ氏 三つの首長選でトランプ氏に逆風

2025/11/05 18:39 

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 4日投開票の米東部ニューヨーク市長選で、民主党の急進左派、ゾーラン・マムダニ・ニューヨーク州下院議員(34)が当選した。マムダニ氏は自らを「民主社会主義者」と位置づけるウガンダ生まれの移民で、トランプ米大統領が敵視してきた。

 4日には南部バージニア州と東部ニュージャージー州の知事選も投開票され、いずれも「反トランプ」を掲げた民主党候補が共和党候補を破った。今回は1月の第2次トランプ政権発足後初の大型地方選で、政権に対する評価としても注目を集めていたが、トランプ氏に逆風が吹いた。

 マムダニ氏は富裕層への増税を原資に、物価高騰に苦しむ市民の生活救済を掲げ、若者層を中心に草の根で支持を広げた。一方、左派ポピュリズム的な政策や、パレスチナ情勢をめぐるイスラエルへの政治的批判などから、民主党内にも支持表明を控える動きがあった。

 マムダニ氏は当選を決めると「多くの人々を見捨て、ごく一部の人々のみに応える政治の時代は終わった」と勝利を宣言した。

 米CNNによると、開票率91%時点の得票率はマムダニ氏が約50%で、民主党予備選に敗れて無所属で出馬したアンドルー・クオモ前ニューヨーク州知事(67)が約42%、共和党のスリワ候補が約7%だった。

 ニューヨーク出身のトランプ氏は、マムダニ氏を「狂った共産主義者」と呼んで敵視してきた。投開票日の前日夜にはクオモ氏への支持を表明し、マムダニ氏の当選を阻止するためスリワ氏には投票しないよう異例の呼びかけをした。トランプ氏は市に対する連邦資金の凍結などを示唆しており、米最大都市の市政を巡り、ホワイトハウスとの攻防が激しさを増しそうだ。

 一方、バージニア州では民主党のアビゲイル・スパンバーガー元連邦下院議員が共和党のウィンサム・アールシアーズ副知事に勝利した。現職の共和党から4年ぶりに知事の座を奪い返した。ニュージャージー州でも民主党のマイキー・シェリル連邦下院議員が、3度目の知事選に挑んだ共和党のジャック・チャタレリ元州下院議員を破った。

 スパンバーガー氏とシェリル氏はともに女性で安全保障分野の経験を持つ中道候補だ。トランプ政権の強権的な政治手法に対する批判を展開する一方、物価上昇やエネルギー価格など生活コストの抑制などの経済政策を訴えていた。【ニューヨーク八田浩輔、ワシントン金寿英】

毎日新聞

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