MAGAアカウントの拠点が米国外? Xの「所在地」表示機能で判明

2025/11/28 16:34 

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 X(ツイッター)に導入された新機能「アカウントの所在地」が話題になっている。トランプ米大統領の熱心な支持層である「MAGA(マガ=米国を再び偉大に)」を名乗るアカウントが米国外に拠点を置くなどプロフィルと異なる事例が相次いで判明。注目を集める投稿で広告収益を得ようとしたり、社会の分断をあおろうとしたりする目的で、国外からMAGAを「利用」していた可能性が表面化した形だ。

 新機能は22日に始まった。アカウントのプロフィル欄にある利用開始時期にカーソルを合わせると、「このアカウントについて」という表示が出現。アカウントの拠点となる国・地域やユーザー名の変更回数が閲覧できるようになった。旅行時などはプライバシー保護のため時間差で反映されるほか、発言内容が監視・罰則対象の国にいる利用者には地域のみ表示される仕様だという。

 Xのプロダクト責任者は投稿で「国際的な交流の場での信頼性確保に向けた重要な一歩」との認識を示し、利用者向け機能を拡充していく方針だと記した。

 新機能が登場すると、「ネット探偵たち」(米紙ニューヨーク・タイムズ)がすかさず活用。トランプ氏やMAGA運動を支持する一部アカウントの拠点が米国外だと突き止めた。

 例えば、フォロワー39万超の「MAGA NATION」はアカウントの拠点が「東欧(欧州連合=EU=非加盟)」だったことが分かった。また、英公共放送BBC(電子版)によると、トランプ氏の長女イバンカ氏のファンを名乗る100万超のフォロワーを抱えるアカウント(現在はアカウント停止)は拠点がナイジェリアだと判明した。昨年の大統領選でトランプ氏への投票を呼びかけていたという。

 近年、Xは仕様変更でフォロワーと表示回数(インプレッション)が多いアカウントに広告収益を配分する仕組みを導入。非常事態に便乗した偽情報や過激な言説で注目を集める「インプ稼ぎ」が問題化した。BBCは問題のアカウントの多くが、収益を得ている可能性があると分析した。

 同様の問題は日本にも波及している。日本在住を自称するアカウントの拠点が他国であるケースが散見されている。

 Xの所在地表示を巡っては以前から検討されていた。ただ、米NBCニュースによると、少なくとも2018年から議論されていたが、繰り返し却下されていたという。IPアドレスや全地球測位システム(GPS)を基に所在地を判別しているとみられるが、正確な位置を反映するには十分とはいえず、所在地表示が偽装されるなどの恐れがあるためだ。

 所在地の情報を信じこむことで、かえって偽情報に基づく投稿に引っかかるケースも懸念され、利用者には情報をうのみにしない慎重な姿勢が求められそうだ。【ワシントン浅川大樹】

毎日新聞

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