ベラルーシで拘束の日本人は全員解放 恩赦は今年最大規模 米が交渉

2025/12/14 11:37 

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 ベラルーシのルカシェンコ大統領は13日、ノーベル平和賞を2022年に受賞した人権活動家のアレシ・ビャリャツキ氏や元日本語教師の中西雅敏さんら、拘束していた多国籍の123人に恩赦を与えて釈放した。ロイター通信などが伝えた。トランプ米政権が交渉し、見返りに制裁を一部解除した。

 ルカシェンコ政権は、ウクライナで「特別軍事作戦」を続けるロシアを同盟国として支える。他方で、対露依存を緩和するために欧米との関係修復も模索しているとみられる。

 釈放された中西さんは、24年7月に一方的なスパイ容疑で拘束され、今年3月に懲役7年などの判決が言い渡されていた。

 釈放された人々のうち、ビャリャツキ氏ら9人はリトアニアへ向かい、残る114人はウクライナへ出国した。在ベラルーシ日本大使館は「リトアニアで現地の日本大使らが、拘束されていた邦人と面会した。健康状態に問題はない」と明らかにし、米政府への謝意を示した。

 ベラルーシでは今年6月にも、拘束されていた日本人2人を含む14人への恩赦があった。今回の恩赦は今年最大規模で、ベラルーシで近年拘束されていた日本人は全員解放された。

 13日には、反体制派指導者のマリア・コレスニコワ氏や、20年8月の大統領選に出馬表明していた元銀行家のビクトル・ババリコ氏も釈放された。

 米国は今回、ベラルーシが世界有数の産出国であるカリウム取引への制裁を解除することに同意した。カリウムは肥料の原料として使われる。

 ロイターによると、交渉を担当する米国のコール特使は、残る約1000人の政治囚も今後数カ月以内に釈放される可能性があると明かしたという。

 ベラルーシでは1994年からルカシェンコ氏の長期独裁政権が続く。20年の大統領選を巡って、不正を訴える大規模な抗議運動が広がったが、当局は徹底弾圧した。この際に大勢の反体制派の人々が投獄された。【モスクワ真野森作】

毎日新聞

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