気候政策「解体」の一手 米で排出規制の根拠撤廃、後の政権に影響も
トランプ米大統領が12日に発表した温室効果ガスの「危険認定」の撤廃は、第2次政権発足後に進める気候政策の「解体」を決定づける一手だ。自動車の排出基準を廃止する方針が同時に示されたが、発電所や工場など幅広い分野でなし崩し的に規制緩和が広がる可能性がある。
影響は温暖化抑制にとどまらない。化石燃料を燃やすことによる大気汚染は、ぜんそくなど健康被害を招き、医療コストにも直結する。環境シンクタンクの世界資源研究所(WRI)は、人と環境、経済を守る責任を放棄する「背信行為」だと厳しく批判した。
第1次トランプ政権と比べて際立つのは、政策判断の土台となる科学的評価を組み替えようとする動きだ。政権が「危険認定」を覆す根拠の一つとしたのは、エネルギー省の作業部会が2025年7月に公表した報告書だった。温暖化対策の緊急性に異を唱えてきた研究者らがまとめ、気候変動の利点や対策による負の影響に焦点をあてた。
主流派の気候科学者からは、政権に都合の良いデータを寄せ集めた「チェリーピッキング」だと厳しい批判が上がり、マサチューセッツ州の連邦裁判所も作業部会の手続き上の違法性を指摘した。それでも、「米史上最大の規制緩和」にブレーキはかからなかった。
トランプ氏の記者会見に同席した環境保護局(EPA)のゼルディン長官は、気候変動を「宗教」と切り捨てた。長年積み上げられてきた科学を拒絶し、政策の根幹を突き崩す振る舞いは、将来の政権による軌道修正を険しいものにしかねない。【ニューヨーク八田浩輔】
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