“追悼ヘルメット”で失格のウクライナ選手、処分取り消し求め提訴

2026/02/13 21:09 

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 ミラノ・コルティナ冬季オリンピックで、同胞を追悼するためのヘルメットの使用を理由に失格となったスケルトン男子のウクライナ代表、ウラジスラフ・ヘラスケビッチ選手は12日、国際オリンピック委員会(IOC)側に処分の取り消しを求め、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴した。暫定措置として、CASがヘラスケビッチ選手の五輪復帰を直ちに認めるか、CASの監督下で競技に参加できるようにすることも求めた。

 スケルトン男子の後半のレース(3、4本目)は13日夜にある。

 ヘラスケビッチ選手は、ロシアによる侵攻で犠牲になったアスリートたちの肖像画が描かれたヘルメットを12日のレースで着用しようとして失格となった。IOC側は「五輪の会場におけるデモや政治的、宗教的、人種的な宣伝活動」を禁じた五輪憲章などに違反したことを失格の理由としている。

 IOCのコベントリー会長は13日、ミラノで記者会見し、失格処分について「追悼のメッセージ自体を問題視しているわけではない」と強調。「五輪会場は選手たちが競技に集中するために中立で安全なスペースでなければならず、メッセージの発信は認められていない」と説明した。

 コベントリー氏は12日のレース直前にヘラスケビッチ選手と面会し、ヘルメットの使用をやめるよう説得したが、受け入れられなかった。

 一方、ゼレンスキー大統領らウクライナ側からは失格への批判が相次いでいる。ウクライナを支援する国々の大統領らもIOCに異議を唱えており、政治問題化しつつある。

 ゼレンスキー氏は12日、X(ツイッター)で「彼のヘルメットはロシアの侵略とは何かを世界に思い出させるものだ。何の規則も破っていない」と主張。「五輪運動は戦争を止める助けとなるべきであって、侵略者の思うつぼになってはならない。残念ながら、IOCの決定はその逆を示している」と非難した。

 ロシアに隣接するラトビアのリンケービッチ大統領も12日、Xに「IOCは明らかに間違っている」と投稿。エストニアのツアフクナ外相もXで「(失格処分は)正当化できない。攻撃を受けている国の声を抑圧している」と厳しく指弾した。

 ロイター通信によると、ラトビアのスケルトンチームのコーチは国際ボブスレー・スケルトン連盟に抗議し、ヘラスケビッチ選手の復帰を求めたという。

 他国のスケルトン選手たちには衝撃が広がっているが、「彼は信念を貫く。(追悼ヘルメットを使うことは)滑ることよりも重要だと考えたのだ」(米国のダニエル・ベアフット選手)など、ヘラスケビッチ選手の行動を擁護する声も出ている。

 一方、他種目のウクライナ選手も、メッセージ入りのヘルメットの使用をIOC側から禁止された。

 ウクライナメディアなどによると、スピードスケート・ショートトラック男子のオレフ・ハンデイ選手のヘルメットには「勇敢さがあるところに決定的敗北はない」、フリースタイルスキー女子のカテリーナ・コツァル選手のものには「ウクライナ人のように勇敢であれ」と書かれていた。両選手は禁止措置に従い、メッセージをテープで消すなどしたという。【ミラノ福永方人】

毎日新聞

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