“龍の肉にも匹敵”? 中国・河北名物「ロバ肉サンド」の味は
天上には龍の肉、地上にはロバの肉――。ロバの肉が龍の肉にも匹敵するほどの絶品だという意味の中国の格言だ。日本人にはなじみのないロバ肉だが、東部・河北省ではこの肉を使ったサンドイッチが親しまれているという。一体どんな味がするのか。
河北省石家荘市のロバ肉料理店。住宅街の一角にある店のドアをくぐると、鉄板で「ジュー」と肉を焼く音が響き、香ばしいにおいが鼻腔(びこう)をくすぐった。
この店の看板メニューは「驢肉火焼(ロバ肉サンドイッチ)」。河北など中国の華北地域で親しまれている軽食で、その加工技術は省の無形文化遺産にも登録されている。
脂身の少ない18元(約420円)の肉のサンドと、多い17元(約400円)の両方を注文した。10分ほどで店員が、カリカリに焼かれた20センチほどの長さのサンドをテーブルに持ってきてくれた。
間には、ロバ肉や青唐辛子がぎっしりと挟まれている。肝心のロバ肉は、チャーシューを少し牛肉っぽくしたような味わいで、予想していたほど臭みはない。脂も甘く、青唐辛子の爽やかな辛みと相まって食欲が止まらなくなる。
店員に感想を伝え、調理のコツなどを聞き出そうとしたが、店員は「おいしかったですか。よかったですね」と素っ気ない態度でそそくさとテーブルを片付け始めた。
ふと周囲を見ると、店内は満席に近い状態で、料理の完成を待つ配達員も慌ただしく出入りしていた。食べ終わったらさっさと出て行けということらしい。
伝統のロバ肉サンドだが、近年は逆風にさらされている。中国国内でロバの飼育数が減少し、肉の価格が高騰しているためだ。
かつて農作業の担い手として全国で1100万頭を超えていたロバの飼育数は、農業の機械化に伴って徐々に減少。特に近年はロバの皮を原料にした漢方薬の需要拡大などもあり、中国国家統計局によると、2014年の383万頭から24年は129万頭と、10年で約3分の1になった。
中国メディアによると、これに伴い、ロバ肉の価格も倍以上に高騰。以前は数元で購入できたロバ肉サンドも値上げが続き、現在は15元(約350円)以上が相場となっているという。
ロバの繁殖能力の低さもネックとなっている。1年に2回出産し、一度に10頭あまりの赤ちゃんを産む豚に比べ、ロバは1年に1回、1頭を産むにとどまる。また豚は出荷までわずか半年程度しかかからないのに対し、ロバは成長するまで1年以上かかるため、生産効率が悪く、飼育の拡大は難しいという。【石家荘で畠山哲郎】
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