セルビアで「ボスニアの虐殺者」の手厚い葬儀 外交問題に発展

2026/09/12 11:48 

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 旧ユーゴスラビアのボスニア・ヘルツェゴビナ紛争(1992~95年)を巡り、セルビアとボスニア間の緊張が高まっている。

 セルビア人勢力の司令官としてジェノサイド(集団殺害)を指揮したなどとして国際法廷で終身刑を受けたラトコ・ムラディッチ受刑者の葬儀が、セルビアで閣僚が参加して行われたのが発端だ。セルビアが加盟を目指す欧州連合(EU)の首脳からも批判が上がっており、歴史の傷痕が新たな外交問題を引き起こしている。

 ムラディッチ受刑者は、95年7月にボスニア東部スレブレニツァでイスラム教徒ら7000人超が殺害された虐殺事件を指揮したなどとして、有罪が確定。今年8月に収容先のオランダ・ハーグの病院で84歳で死亡した。「ボスニアの虐殺者」とも呼ばれた。

 複数の欧州メディアによると、葬儀は9月7日、セルビアの首都ベオグラードで開かれ、市民ら数千人に加えて法相など複数の現役閣僚も参列した。遺体も政府専用機で運んだという。

 事実上の「国葬」ともいえる対応にボスニアは猛反発した。首都サラエボのセルビア大使館の外交官2人に国外退去を求めるとともに、ベオグラードにいる自国の大使館スタッフの大半を引き揚げることに決めた。

 EUのフォンデアライエン欧州委員長とコスタ欧州理事会常任議長(EU大統領)もX(ツイッター)への投稿で、葬儀は「衝撃的」だったとして「深い遺憾」を表明。「セルビアのEU加盟に向かう道筋を支える価値観とは相反する」と非難した。

 しかし、セルビアのブチッチ大統領はこうした批判を「いつものようにばかげている」と一蹴した。ブチッチ氏は葬儀には出席していないが、息子が参列していた。

 セルビアでは9日に議会(1院制)が解散しており、10月25日に議会選が実施される。政権側の一連の対応からは、ムラディッチ受刑者を今も紛争時の英雄として評価する保守層の支持を取り込みたい狙いがにじむ。今後も強硬な姿勢が予想され、EUや周辺国との溝が広がりかねない状況だ。【ブリュッセル岡大介】

毎日新聞

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