学校給食無償化は実現できる? 野党が提案、財源や公平性が課題

2025/01/13 08:30 

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 公立小・中学校などの給食費を全国で無料にしようという議論が国会で始まっています。なぜ今、議論になり、実現にはどんなハードルがあるのでしょうか。Q&A形式で記者が解説します。【樋口淳也】

 Q 小・中学校の給食費をタダにしようという動きがあると聞いたよ。

 A 全国の公立小・中学校などの給食費無償化のことですね。2024年の臨時国会で立憲民主、日本維新の会、国民民主の3党が実現に向けた法案を提出しました。今年の通常国会で主要な論点の一つになりそうなんです。

 Q 今も無償じゃなかったっけ?

 A 自治体が独自で無償にしているケースがありますが、文部科学省によると、全ての児童・生徒を対象に実施している自治体は約30%(23年9月1日時点)にとどまります。自治体の財源では限界があるため、国の負担で完全に無償化するのが3党の法案です。必要な費用は年間約4900億円と試算しています。

 Q なぜ今、無償化の議論が起きているの?

 A 立憲民主党は、給食は子どもたちの成長や食育の観点から教育の大切な活動であり、物価高を踏まえて保護者の負担軽減や、学校現場で給食費を徴収する教職員の負担軽減につながるとしています。

 Q なぜ、最初から無償じゃないの?

 A 文科省が24年12月にまとめた「課題の整理」では、財源の問題以外にも、給食を実施していない学校があることや、給食があっても弁当を持参したり、不登校だったりする児童・生徒もいるため、「公平性」が課題として挙げられています。児童・生徒の約14%を占める生活困窮世帯はほとんどの場合、生活保護などで無償になっているという側面もあります。

 Q 子育ての負担が減るという意味で期待する人もいそうだけど、野党が言っているだけでは実現しないのかな。

 A そうとも言い切れません。自民、公明両党は衆院で過半数の議席を持たず、野党の協力がなければ予算案も法案も通せません。野党がまとまれば独自に法案を通すことも可能ですし、公明党も無償化は必要との立場です。今後の議論に注目したいですね。

毎日新聞

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