日フィリピン首脳、軍事上の機密情報共有方針を確認 中国をけん制

2025/04/29 20:41 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 石破茂首相は29日、訪問先のフィリピン・マニラでマルコス大統領と会談した。両首脳は軍事上の機密を含む情報保護協定の締結に向けて議論を開始する方針を確認。自衛隊とフィリピン軍が物資などを融通し合う物品役務相互提供協定(ACSA)の締結に向け、交渉を始めることで合意した。

 フィリピンは、南シナ海における領有権を巡って中国と対立しており、日本との安全保障分野での協力強化は、中国をけん制する狙いがある。両首脳は、東シナ海、南シナ海情勢について、力による一方的な現状変更の試みに反対することを確認した。

 フィリピンは日本と同様に米国と同盟関係にあり、近年は首脳会合をはじめとした日米比3カ国の安保、経済分野での連携が進んでいる。この日の会談では、引き続き3カ国の協力関係を維持する方針も確認した。石破首相は「(日比両国は)海でつながれた隣人であり、共に米国の同盟国だ。法の支配といった根幹にある価値観を共有し安全保障、経済などの課題も共通している」と語った。

 米国による関税措置を巡って、フィリピンには17%の「相互関税」が設定されている。比較的低い水準だが、輸出や地域経済への影響が懸念されている。両首脳は関税措置が世界経済に与える影響などを踏まえ、意見を交わした。

 マルコス氏は会談後の共同記者発表で「日本とは民主主義、ルールに基づく国際秩序という理想を共有している」と強調。石破首相は「1世紀近くに及ぶ先人の努力や苦難をへて、今や日本とフィリピンが同盟に近いパートナーになったことを感慨を持って受け止めている」と述べた。

 会談に先立ち、石破首相は太平洋戦争時にフィリピンに取り残され、無国籍状態となった残留2世の関係者と面会。日本国籍の回復を支援する考えを示した。【マニラ光田宗義】

毎日新聞

政治

政治一覧>

写真ニュース