小泉農相、コメの「価格破壊起こす」 市場介入に「政治的覚悟」

2025/05/22 20:55 

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 小泉進次郎農相は22日、一般競争入札から随意契約での放出を検討している政府備蓄米について、既に実施した入札での価格よりもかなり安い価格で、多様な業者に売り渡す考えを明らかにした。「価格破壊みたいな形を一定程度起こさないと、世の中の空気が変わらない」と述べ、高止まりが続くコメ価格の抑制に向け、政治的覚悟があるとした。同日の民放の番組で答えた。

 政府はこれまで備蓄米放出の目的について、流通の目詰まり解消だとし、具体的な価格にはコミットせず、市場への介入はしないとの立場だった。しかし石破茂首相が21日、コメ価格を「5キロ3000円台」に下げると表明。方針転換を明確にした。

 小泉氏は随意契約の仕組みについて「財務省などと協議中だが、透明性が高く、オープンなものにする」と強調。「しっかり、この価格なら下がる」という金額を提示できるよう政府内で調整し、近く公表したいとの考えを示した。

 沖縄の離島では輸送費などの影響でコメが5キロ6500円に高騰している事例も挙げ、随意契約での売り渡しは「こちら(政府)で価格を決め、(市場価格より安い)定価で流していける形が私は一番いいと思う」と説明した。一連の方針変更を「政治責任を伴うが、大胆なことをやっていかなければ、世の中の不安を払拭(ふっしょく)することができない」と述べ、理解を求めた。

 これまで3回の入札を実施した備蓄米は、全国農業協同組合連合会(JA全農)が9割以上を落札してきた。今後はより安く、円滑な流通を促すため、随意契約の相手先はJA全農以外の小売店やネット販売業者などを想定しているとし、「今までの入札と比べ、多様なプレーヤーに参加してもらう」と話した。【中津川甫】

毎日新聞

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