学術会議の「法人化」 法案が成立するとどう変わる 問題点は?

2025/05/29 05:00 

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 現在は「国の特別機関」の日本学術会議を特殊法人に移行させる法案が28日、参院本会議で審議入りした。学術会議側は政府からの独立性の確保に懸念される点があるとして修正を求めているが、政府・与党は応じておらず、今国会で成立する公算が大きくなっている。学術会議はどう変わるのか。何が問題視されているのか。

 特殊法人化に伴って会員は210人から250人に増える。これまで学術会議が候補を推薦して首相が任命していたが、学術会議側の選任に変わる。一方で、2026年の新体制発足時は、首相が決めた有識者2人と現会長が協議して選んだ委員10~20人が会員候補者を選ぶことになる。以降も外部有識者が会員選考に意見を述べる。さらに首相任命の監事や評価委員が活動を監査・評価する。

 学術会議側は法人化自体には反対していないが、こうした何重にも「管理」するような仕組みに対して「学術会議の独立性を損なうのではないか、という懸念が払拭(ふっしょく)されていない」(光石衛会長)などと憂慮している。

 立憲民主党は修正法案を準備中で、首相が間接的に運営に関与する規定を修正・削除する方針だ。政府は法人化後も予算措置する方針だが、修正案では安定した財源基盤を確保するための規定を追加する。

 学術会議の組織のあり方の議論は、20年に菅義偉元首相が6人を任命拒否したことで始まった。今月16日には東京地裁が、首相が任命拒否できるという法解釈に至った文書の一部を国が黒塗りとしたことに対し、開示命令を出した。国は控訴している。

 立憲の石川大我議員は「開示しないまま審議を進めるのは改正法案の審議の前提を欠き、許されない。新たな任命拒否が出ないか」と指摘。対して坂井学・内閣府特命担当相は「情報公開法の不開示事由に値すると判断した。内容については答えられない」と述べ、開示する意向は示していない。

 法案は5月13日に自民、公明両党と日本維新の会などの賛成で衆院を通過。6月初旬にも参院本会議で採決が行われる見通しとなっている。【信田真由美】

毎日新聞

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