備蓄米の転売防止規制、小泉農相が導入方針 週内にも閣議決定へ

2025/06/10 20:49 

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 小泉進次郎農相は10日の閣議後記者会見で、政府備蓄米を随意契約で新たに20万トン放出すると発表した。対象は2021年産と20年産の各10万トン。21年産は11日から購入申請を受け付ける。21年産が上限に達した後、20年産の受け付けを始める方針。20年産の放出は初めてで、店頭価格は5キロ当たり1700円程度を想定している。

 また小泉氏は10日午後、記者団に対し、備蓄米の販売で転売防止規制を導入する方針を明らかにした。今週内にも政令改正することを閣議決定し、適用する。

 現在、随意契約の備蓄米は、中小のスーパーなど小売業者向けに21年産6万トンの申請を受け付けている。このうち約2万トンはまだ申し込みがないため、追加の21年産10万トンと合わせて放出する。売り渡す対象は、休止していた大手小売業者や米穀店にも広げる。

 購入数量の上限や放出量と同量を買い戻す条件は設けない。小泉氏は「備蓄米が早く安く消費者の手元に届くように、スピードを緩めずに対応していきたい」と話した。

 政府は保有していた備蓄米約91万トンのうち、3~4月に計3回の一般競争入札で約31万トンを放出した。5月21日に農相に就任した小泉氏が入札から随意契約による売り渡しに変更し、同26日から30万トンの追加放出を決定。今回新たに20万トンの放出を決めたことで、残る数量は約10万トンとなる。

 小泉氏は過去の災害時の備蓄米の放出量について、11年の東日本大震災で4万トン、16年の熊本地震で90トンだったと説明。10万トンあれば同規模の災害が起きても「十分対応できる水準だ」と述べた。また小泉氏は、石川県を事務局とする協議会から9日に24トンの購入申請があり、能登半島地震の被災地にも放出する方針も明らかにした。

 高騰しているコメ価格は、割安な備蓄米が徐々に流通している影響も出ている。農林水産省が9日発表した全国のスーパーのコメ価格によると、5月26日~6月1日に販売された5キロ当たりの平均価格(税込み)は4223円で、2週連続で値下がりとなった。2週連続で下落したのは、昨年11月以来26週ぶり。【中津川甫、渡辺暢】

毎日新聞

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