空襲被害者救済法案、今国会の提出見送りへ 各党の足並みそろわず

2025/06/12 18:44 

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 太平洋戦争中の空襲などで被害に遭った民間人を救済する議員立法について、超党派の国会議員連盟は12日、役員会を開き、今国会での法案提出を見送る方針を確認した。秋の臨時国会での提出・成立を目指す。議連は戦後80年を迎える今年が立法実現の最後の機会として調整を続けていたが、与党の自民党をはじめ、一部野党でも党内手続きが完了せず提出が困難な状況になっていた。

 法案の柱は、空襲や沖縄戦など国内の地上戦で体や精神に障害を負った人のうち、法施行時点の生存者に1人50万円を支給するもの。政府が被害の実態を調査することも盛り込んだ。

 空襲などでの民間人被害者を巡っては、政府はこれまで戦争の犠牲や損害は国民が等しく我慢しなければならないとする「戦争被害受忍論」に基づき、補償してこなかった。法案提出の鍵を握る自民でも、こうした経緯から党幹部が難色を示していた。

 関係者によると、議連の一部メンバーは党内手続きが終わった党のみでの提出を主張したが、各党の足並みがそろっていないことから臨時国会での提出に照準を合わせることを確認したという。

 ある出席議員は「野党の法案にならないよう、最後まで自民をつなぎ留める努力をしなければならない」と話した。【肥沼直寛】

毎日新聞

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