政府、在外邦人の無料弁護士相談を強化へ 中国母子切りつけなど受け

2025/07/08 16:24 

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 海外で暮らす日本人が犯罪に巻き込まれた場合、言葉の壁によって刑事事件手続きや民事訴訟を進めにくいケースがあるとして、政府は被害者や家族を対象に日本語の無料弁護士相談を強化する方針を固めた。中国で昨年相次いだ日本人らの死傷事件を受け、今年1月から中国で始め、来年度以降は他のアジア数カ国にも広げる調整をしている。

 殺人、傷害、暴行、ドメスティックバイオレンス(DV)、不同意性交など心身に深刻な被害を受ける重大な犯罪を想定している。

 日本語ができる現地の弁護士が1回30分以内で3回まで、対面や電話などでの無料相談に応じる。被害届の提出方法や当局への処分の求め方、被害者支援制度の手続きなどを専門的にアドバイスする。

 昨年6月に中国東部・蘇州市で、日本人学校のスクールバスを待っていた日本人母子らが中国人男性に刃物で切りつけられて負傷した。9月には南部・深圳市で日本人学校の男子児童が刺殺された。

 これらの事件をきっかけに、今年1月から中国の北京、広州、上海、重慶、瀋陽、青島、香港、大連の8カ所の在外公館で無料相談の紹介を始め、既に利用者もいるという。

 政府は来年4月以降、日本人の多いタイ・バンコクなどにも広げる調整をしている。【田所柳子】

毎日新聞

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