米テキサス洪水、死者100人超に 人員削減で被害拡大? 調査要求

2025/07/08 19:08 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 米南部テキサス州で4日未明に発生した洪水で、米メディアは7日、死者数が100人を超えたと報じた。野党・民主党は、トランプ政権が実施した国立気象局(NWS)の人員削減などによる災害予報態勢の弱体化が人的被害の拡大につながった可能性について調査を要求。ホワイトハウスは「NWSは適切に対応していた」などと反論している。

 AP通信によると、今回の洪水による死者は7日夕までに104人に上った。カー郡に被害が集中し、キャンプに参加していた少女ら27人も犠牲になった。

 地元紙などによると、カー郡を管轄するNWSのサンアントニオ事務所は3日午後、4日にかけて大雨への警戒を呼びかける洪水注意報を出した。4日未明から早朝にかけては断続的に警報を発令。グアダルペ川が氾濫する直前には、携帯電話向けのテキストメッセージで「命を脅かす極めて危険な状況だ」として即座に避難するよう呼びかけた。しかし、キャンプ場周辺などの通信状況は不安定で、警報システムも未整備だったとされる。

 米政治メディア「ポリティコ」によると、トランプ米政権で実業家イーロン・マスク氏が当初率いていた政府効率化省(DOGE)は、NWSでも人員削減を実施。6月までに試用期間中の職員の解雇や早期退職などで約600人が職場を去ったという。ロイター通信によると、NWSサンアントニオ事務所では地元当局との連携を担う幹部らが早期退職に応じ、後任が不在だったという。

 連邦議会上院の民主党トップであるシューマー院内総務は7日付の商務省の監察官への書簡で、NWSの人員削減がカー郡などで地元当局との調整力を阻害し、災害対応に悪影響を与えた可能性などを調査するよう求めた。

 ホワイトハウスのレビット報道官は「NWSはタイムリーで正確な予報と警告を発していた」と反論。「民主党は国家的な悲劇を政治ゲームに替えようとしている」と非難した。トランプ大統領は11日に被災地の訪問を計画しているという。【ワシントン金寿英】

毎日新聞

国際

国際一覧>