前札幌市長の上田文雄さん死去 リベラル派、「市民自治」推進

2025/09/19 17:28 

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 札幌市長を2003年から15年まで3期12年にわたって務めた上田文雄さん(77)が18日、病気のため死去した。44年ぶりの民間出身の市長として「市民自治」を推進。リベラル派としても知られた。

 幕別町生まれ。中央大法学部卒業後、1975年に道央法律事務所に所属した。94年に札幌弁護士会副会長に就任。99年に自ら設立した北海道NPOサポートセンターの初代理事長にも就いた。

 2003年に旧民主党などの支援を受けて市長選に初出馬。最多得票を集めたが、公職選挙法の得票率25%の規定を下回ったため、政令指定都市で初の再選挙となった。再選挙にも出馬し、初当選。札幌市長は長年、市職員出身者が務めており、民間出身者の当選は44年ぶりだった。

 市長就任後は街づくりに力を入れ、06年に「自治基本条例」を制定。市民が主役の街づくりを進めるためのルールとして、情報共有と市民参加を促した。08年に秋の食のイベント「さっぽろオータムフェスト」を大通公園で初開催。11年にJR札幌駅前から続く地下歩行空間を整備した。14年に26年冬季オリンピックの招致を市議会で表明した。

 市長退任後は、16年に野党共闘を支援する市民団体「市民の風・北海道」を結成し、共同代表に就任。一方、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定について議論の場を提供するため、21年に設立された市民団体「核ゴミ問題を考える北海道会議」の呼び掛け人代表となった。

 上田市政で副市長を務めた秋元克広市長は「都市インフラの整備、ごみの大幅減量など市民生活に直結する数々の施策を成し遂げた。上田さんの近くで職務にあたらせていただいたことが、昨日のことのように思い出される。市民を代表し、深く感謝を申し上げ、ご冥福をお祈りします」とのコメントを出した。

 通夜は20日午後5時、葬儀は21日午前11時、札幌市中央区南7西8の290の東本願寺札幌別院。喪主は妻めぐみさん。

毎日新聞

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