トランプ氏「最高レベルの同盟国だ」 日米首脳、関税合意文書署名

2025/10/28 11:16 

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 高市早苗首相は28日午前、トランプ米大統領と東京・元赤坂の迎賓館で会談した。対面での会談は初めて。日米同盟の強化や自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力を確認。首相は防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比2%に増額する目標を25年度中に前倒しする方針などを説明する。トランプ氏との個人的な信頼関係の構築も図りたい考えだ。両首脳は会談後、日米関税合意の履行や、レアアース(希土類)など重要鉱物の安定確保に向けた協力に関する共同文書に署名した。

 首相は会談の冒頭、「日本と米国をより強く豊かにするために、日米同盟の新たな黄金時代を共に作り上げていきたい」と呼びかけた。トランプ氏は日本の防衛装備品の購入拡大を歓迎。「我々は最高レベルの同盟国だ。この関係はこれまでにないほど強固なものになるだろう」と強調し、「日本の助けになることがあれば、我々はそこにいる」と話した。

 首相は、防衛力の抜本的強化に主体的に取り組む姿勢を示す考えだ。ただ、米国は防衛費をGDP比3・5%に増額するよう日本側に要求しているとされ、会談では防衛費や在日米軍駐留経費の日本側負担のさらなる増額を求められる可能性がある。

 首相は、日米関税合意の際に約束した約5500億ドル(約80兆円)の対米投資の着実な履行についても伝達する方向だ。関税合意に関連し、大豆や液化天然ガス(LNG)、米国産自動車などを日本が購入する方針も伝える。

 中国は今月、レアアースの輸出規制の強化を表明し、米中間の緊張関係が高まっていた。その後、中国は規制強化の1年間先送りを決定したが、米側の関心は高い。両首脳は会談を通じ、レアアースを含む重要鉱物の安定供給に向けて連携を強化したい考えだ。

 会談では、米国が自国での生産に意欲的な造船能力拡大に加え、人工知能(AI)や宇宙など7分野で協力する覚書も結ぶ予定。

 両首脳には安倍晋三元首相との関係が深いという共通点がある。高市首相は会談の冒頭で「安倍氏に対する友情に感謝している」と伝えた。トランプ氏は安倍氏の死を悼み、「彼はあなたを褒めていた。あなたが首相になったことを知ればとても喜んだだろう」と高市氏の首相就任に祝意を示した。

 両首脳は会談後、ワーキングランチを実施する。その後、共に大統領専用ヘリコプター(マリーンワン)で米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)に移動。米原子力空母ジョージ・ワシントンを視察し、強固な日米同盟をアピールする。【原諒馬、松井聡】

毎日新聞

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