ヘグセス氏、日本の防衛力強化は「大きな一歩」 日米防衛相会談

2025/10/29 19:34 

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 小泉進次郎防衛相は29日、来日中のヘグセス米国防長官と防衛省で初めて会談した。防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比2%に増額する目標を25年度中に前倒しする方針を示し、「国家安全保障戦略」など安保関連3文書も前倒しで改定する検討を開始したと伝え、ヘグセス氏は支持を表明した。両氏は日米同盟の抑止力、対処力を一層強化していくことも確認した。

 ヘグセス氏は会談後の共同記者会見で、日本の防衛力強化に向けた取り組みについて「大きな一歩で、速やかに実行されることを期待している」と述べ、歓迎。具体的な数値目標については「米側から日本に何かを要求したことは一切ない」とした。米国は防衛費をGDP比3・5%に増額するよう日本に要求しているとされるが、高市早苗首相は28日のトランプ米大統領との会談後、記者団に「特に数字を念頭に置いたやりとりはなかった」としている。

 小泉氏は会見で「主体的に防衛力の抜本的強化と防衛費増額に取り組む」としたうえで、安保関連3文書の改定について「日本の防衛力をさらに強化し、日米同盟の抑止力・対処力が一層高まっていく」と述べた。中国が十分な透明性を欠いたまま軍事力を広範かつ急速に増強させていると指摘し、「我が国周辺の軍事動向に強い関心を持って注視しながら、冷静かつ毅然(きぜん)と対応していく」とした。ヘグセス氏は「中国軍の威圧的な行動を抑止するために日米同盟は不可欠だ」と強調した。

 両氏は会談で、空対空ミサイル「AMRAAM」などの共同生産や米軍艦船、航空機の共同維持整備など、防衛装備・技術協力を一層推進させることを確認。小泉氏は米国が各種ミサイルの納入の加速化に取り組んでいることに謝意を示した。

 防衛省は陸海空3自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」を3月に発足させ、米軍は在日米軍司令部を「統合軍司令部」に移行させる方針。両氏は会談で、日米の一元的な指揮・統制の枠組み向上に向けた取り組みの進展を歓迎した。

 また両氏は、自衛隊と米軍の共同訓練拡充を含め、南西地域での日米の共同プレゼンスの拡大に「最優先事項の一つ」として取り組むことを確認。日米を中核に、韓国、オーストラリア、フィリピンなどと情報共有や運用面での協力をさらに進展させることで一致した。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を含め、在日米軍再編の着実な実施の重要性も確認。在日米軍による事件・事故の再発防止に向けた協力でも一致した。【田所柳子、松浦吉剛】

毎日新聞

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