クマ対策で関係閣僚会議を初開催 11月中旬に対策パッケージ策定へ

2025/10/30 16:15 

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 クマによる人的被害が拡大しているとして、政府は30日、首相官邸でクマ被害対策に関する「関係閣僚会議」を初開催した。相次ぐ被害を受けて、従来の連絡会議を木原稔官房長官直轄の閣僚会議に格上げし、体制を拡充した。木原氏は11月中旬までに、クマ被害対策施策のパッケージを取りまとめる考えを表明した。

 会議には、危機管理の司令塔役である木原氏のほか、クマの駆除政策などを所管する石原宏高環境相、被害が深刻な秋田県から自衛隊派遣の要望を受けた小泉進次郎防衛相らが参加した。

 会議冒頭で、木原氏は「人身被害が増大し、死者数は本日までに12人となった。国民の安全・安心を脅かす深刻な事態だ」との認識を示した。その上で「国民の命と暮らしを守るため、追加的、緊急的なクマ対策を強化する」と表明した。緊急対策を含めた対策パッケージの取りまとめに向けて、予算措置の検討を含めて関係省庁が緊密に連携するよう求めた。

 緊急対策としては▽自治体の判断に基づき、市街地で発砲可能な「緊急銃猟」を実施することができる者を拡大する措置を講じる▽警察官や狩猟免許を有する公務員が緊急銃猟に協力できるよう各省が速やかに対応する――などを挙げた。

 木原氏は会議後の記者会見で、今後、警察官がライフル銃でクマを駆除することが可能となる仕組みや狩猟免許を持つ自治体職員「ガバメントハンター」の確保などを検討していく考えを示した。

 小泉氏は「自衛隊の本来任務は国防であり、無制限にクマ対策を実施することはできない」とした上で「国民の命を守ることを任務とする観点から、与えられた能力と経験を生かし、安全安心を取り戻すべく対処していく」と説明。30日に秋田駐屯地で、自衛隊と秋田県庁、猟友会が捕獲用の「箱わな」の運搬訓練などを実施したことを明らかにした。

 環境省によると、北海道に生息するヒグマは約1万2000頭、本州・四国のツキノワグマは約4万2000頭以上と推計され、増加傾向にある。ドングリの凶作などにより、市街地に出没するケースが続出。死者を含む人身被害は108人(4~9月)となり、過去最多の2023年度と同水準となっている。

 自民党は政府の動きを踏まえ、鳥獣被害対策特別委員会のもとに「クマ被害緊急対策プロジェクトチーム」を設置し、31日に初回会合を開催する方針だ。【大野航太郎】

毎日新聞

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